第6章 流されて異界
第103話 試験直前
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とも病院に運び込む必要はありません。
ただ、魔法が実在して居る事を知らない人間。いや、具体的に言うとハルヒに万結の意図は読めないはず。そもそもアナフィラキシーショックを起こしている……と思われる人間を保健室に運んでもあまり意味はないので、即時病院に連れて行けと彼女なら騒ぐはずですから……。
ほぼお姫様抱っこ状態で万結に何処かへと運ばれる俺。携帯で救急車を呼びながら、万結を追うハルヒ。ただ、おろおろするだけの朝比奈さん。
流石に一般人の目の前で治療系の魔法を行使する訳にも行かず、手を出せない長門さんとさつき。
何が起きたのかは理解しているでしょうけど、あの時の万結の動きと勢いに付いて行ける普通の人間が居るとも思えないので、その場に取り残された可能性の高い弓月さんと朝倉さん。
これぐらいの感覚だったと思います。
「ついでに、綾乃さんにも迷惑を掛けたと言う事か」
救急車など呼ばれて、そのまま何処かの救急病院に運び込まれるような事態に発展したら、下手をすると新聞沙汰。警察が介入して来る可能性も有る。何故ならば、アレルギーを持った人間に、そのアレルゲンと成る物質を含んだお茶を飲ませたのです。一般的な対応では流石に問題があり過ぎるでしょう。
こんな事に成るのは学校として、更に俺たちに取っても問題があるので……。
簡単に考えると、綾乃さんが運んでくれたのだと思いますから。
微かな逡巡の後に首肯く長門さん。どうにも万結の行動や判断が素早かった事が妙な蟠りのような物を発生させて居るようなのですが……。
確かに万結の行動は的確だったと思いますが、それを誰もが出来る訳はありません。
それに……。
「長門さんにも迷惑を掛けたみたいやな。ありがとうな」
本来なら病院――ここで言うトコロの病院とは水晶宮に関係している病院の事。一般人が運営している病院では有りません。その少し特殊な事情に理解のある病院に担ぎ込まれるトコロを、どんな手段を講じた……綾乃さんを説得したのか判りませんが、二人で暮らして居る彼女のマンションの部屋に運び込んで……。
「一晩中、様子を見て居てくれたんやろう?」
当然、確証はありません。しかし、こちらの世界にやって来てから共に暮らすように成った彼女のこれまでの行動や、ハルケギニアの湖の乙女の律義さから考えると、こう考えるのはそう間違いじゃないと思う。
彼女は北高校の冬用の制服姿で、布団に膝だけを乗せて残りの部分は直に畳の上で正座をした状態。
片や俺の方は寝起きのパジャマ姿のまま、軽く枕を尻の下に敷き足を伸ばした状態。
二人の間には、繋がれたままと成って居る手。そして絡み合う視線が存在するだけ。何と言うか、非常に微妙な位置関係。
小さく。本当に動
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