十二幕 これからはずっと一緒だよ
4幕
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と拳のぶつかり合う音が、〈審判の門〉に響き渡る。その戦いは彼らの知るどんな戦いとも違っていて、誰も手を出せなかった。速すぎて視えない。壮絶すぎて観ていられない。
だからこそ、その戦いはあっというまに終わったようにも、何十時間もかけて決着がついたようにも、思えた。
ビズリーが倒れ伏したところで、ルドガーが骸殻を解いた。
「フェイ……ルドガー、は……」
「――勝ったよ。ルドガー、大きいおじさんに勝ったんだよ。お姉ちゃんの時計があったから」
話す内に当のルドガーが駆けてきて、エルの容態を急き込んで尋ねる。
エルがフェイの腕の中にいるまま、ルドガーに手を伸ばした。その手をルドガーが取って、エルがルドガーに笑いかけたことで、ルドガーもまた安堵の笑みを浮かべた。
「まさかお前に、超えられるとは……」
血を吐きながらビズリーが起き上がった。
「その骸殻は、もう使うな。直接契約した今、お前も時歪の因子化のリスクを負ったということ。それほどの力、すぐに因子化してしまうぞ」
言うだけ言って気がすんだのか、ビズリーはカウンタードラムへふらつきながら歩いていく。フェイはビズリーを止めようと立ち上がろうとしたが、それはルドガーに止められた。ルドガーは無言で首を振った。
「オリジン…俺“個人”の願いを教えてやる……あの数だけ、この拳でお前たちをっ!!」
ガゥン…ン…!!
殴った。皮膚も骨も粉砕する威力で。クルスニクの犠牲の数を刻んだカウンターを。
ビズリーが倒れる。そして、二度と起き上がることはなかった。
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