第三章
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第三章
「スカートも校則にあるけれど」
「先生だって何も言わないし」
「許容範囲で」
「駄目だ」
何と先生より厳しい。しかも風紀担当のだ。
「駄目だ、校則は校則だ」
「うわ、出た」
「校則は校則」
「その言葉を出すのね」
皆またしても閉口することになった。唯のその厳しさにだ。
そして唯はだ。さらに言ってきたのである。
「とにかくスカートは元に戻すことだ」
「どうしても?」
「この位とかはなくて?」
「そうだ、絶対にだ」
有無を言わせない口調だった。
「わかったな。それでだ」
「わかったわよ」
「なおすから、今すぐ」
彼女達もここまで言われると頷くしかなかった。まさに根負けだった。
そしてスカートをなおす。ベルトのところに手をやって折っているそのスカートをなおしていく。そのうえでまた言うのだった。
「これでいいのよね」
「それで」
「ネクタイもだ」
唯はそこも見ていた。一つを見ているわけではなかった。
「しっかりと締めてだ」
「何か本当に軍隊みたい」
「まさに鬼教官ね」
「全く」
皆そんな彼女に閉口するばかりだった。しかしである。
比呂はそんな彼女といつも一緒だった。ただし彼は風紀委員としては何も言わない。彼は必要なことをしていればそれでいいという考えなのだ。
その彼女の隣にいつもいる。彼女もその彼に顔を向けて問う。
「何でだ?」
「何でとは何だ?」
「君は何で僕のところにいつもいるんだ?」
こう問うのだった。
「それはどうしてなんだ?」
「興味があるからだ」
だからだと返す比呂だった。
「それでは駄目か」
「いや、いい」
唯はこう彼に返した。
「君がそうしたいというのならな。校則では不順異性交遊は禁止だがな」
「安心しろ。俺もそれは言わない」
それはだというのだ。
「絶対にだ」
「絶対にか」
「御前がそれをしたくないのはわかっているからだ」
だからだというのだ。
「それだからな」
「だといいがな。しかしだ」
「今度は何だ?」
「こうしていつも一緒にいるとだ」
今度は比呂にこう言ってきたのである。
「疑われる」
「それを気にしているのか」
「李下に冠を正す」
昔からよく言われている言葉である。
「だからだ」
「相変わらず真面目だな」
「悪いか?」
「そうは言っていない」
比呂はいつもの調子で返した。
「それはだ」
「そうか」
「むしろだ」
そしてであった。ここで比呂はこう彼女に言うのだった。その言葉は。
「いいと思う」
「いいのか」
「俺はいいと思っている」
こう告げるのである。
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