第二章
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第二章
「それはどうだ?」
「嫌いじゃない」
唯は比呂の目を向けて答えた。
「僕は僕だ。もっと努力が必要だと思っているが僕は僕だ」
「ならそれでいい」
そんな彼女の言葉を受けての返答だった。
「御前がそれでいいのならな」
「そうか」
「では行くぞ」
その唯に顔を向けての言葉だった。
「今からな」
「風紀委員の会議だったな」
「時間厳守だ」
唯は生真面目に話した。
「いいな、絶対にだ」
「わかっている。それではだ」
「行くぞ」
今度は唯からの言葉だった。何はともあれ彼等は会議に向かった。こんな二人の日常だった。
とにかく唯は厳しい。それは変わらない。風紀委員としてクラスの憲兵そのものだった。
何かあるとだ。生真面目に皆に言うのだ。
「掃除は部屋の隅までだ」
「うわ、また言うし」
「本当に厳しいんだから」
皆はそんな彼女の言葉に閉口していた。
「ちゃんとお掃除してるのに」
「これでも真面目よ」
「真面目なら徹底することだ」
これが唯の返答だった。
「何もかもだ」
「徹底って」
「真面目に徹底もあるの」
「ある」
またしても断言だった。
「何もかも極めてだ。いいな」
「はいはい、わかったから」
「極めるわよ、じゃあ」
「とにかくお掃除をね」
皆彼女のその言葉に従いだった。部屋の隅から隅まで掃除をしていく。彼女は何処までも真面目だった。とにかく真面目から離れることはなかった。
それはいつもだった。何があっても外れることはない。服装はことさらだった。
「スカートは短くしない」
「えっ、やっぱり校則!?」
「それ!?」
「足を見せたらはしたない」
クラスの皆は最近の流行でスカートを短くしている。通っている高校のスカートは元々短いのだが皆それを折ってさらに短くしているのだ。それが流行なのである。
しかしだ。唯はそれに対しても言うのである。
「だからだ」
「それでスカートは短く」
「それなの」
「そうだ、僕だってだ」
見ればスカートは普通の丈だ。足は見せているが皆程度ではない。しっかりとしている。そして上着もボタンは全部しっかりしめていてネクタイもきちんとしている。それどころか制服はアイロンを糊を効かせてかけていてそのうえ埃さえ落としている。本当に真面目な格好である。
その格好でだ。彼女は言うのだった。
「スカートは普通にしている。皆もそうしてくれ」
「ソックスまで完璧だし」
「しかも靴は磨かれて」
「本当に軍人さんみたいね」
皆その彼女の格好を見ながらあらためて言う。
「けれどこれ位はいいじゃない」
「そうよ、これ位は」
「別にね」
それはいいというのだ。そして唯にさらに話す。
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