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鋼の魔神と月の光
第一話
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麻帆良学園都市。
表向きには関東にある巨大な学園都市となっているが、その実態は『関東魔術協会の本拠地』だ。
そこにある巨大な樹、通称“世界樹”の下に突如虚無の闇が広がった。そこから一人の少女、月村すずかを手に乗せた機巧魔神“鋼”が姿を現す。鋼はすずかを地面に下ろすと、機体のあちこちから火花を散らし始めた。

「っ!?戻って、鋼。」

すずかがそう命令すると、鋼は闇の中へ戻って行った。そして、鋼が姿を消すとアリサが姿を現す。

『一体、何があったの?』

「わからない。ちょっと調べてみるね。」

そう言うとすずかは、魔法で周囲をスキャンする。

「嘘・・・街単位の広さで結界が展開されてる・・・」

『街単位!?どんなバカ魔力を使えばそんな結界張れるのよ!!』

結界の規模の大きさに驚愕するアリサ。その時・・・

ガサリ

二人の背後で物音がした。振り返ると、そこには魔女のようなトンガリ帽子を被り、ボロボロのマントを身に纏った金髪の少女が居た。

「ただのガキかと思ったら、同族に幽霊か・・・貴様ら、一体どうやってここまで侵入した。」

「同族・・・」

少女の言葉に反応するすずか。

『侵入って、もしかしてここって立ち入り禁止?』

一方、アリサは冷静に少女に質問していた。

「何を訳の分からん事を言っている。」

『いや、私たちだってここが何処だか分からなくて・・・』

「何?貴様ら、ここが麻帆良と知らずに来たのか?」

『だって、逃げるのに精一杯だったし。』

「逃げてきただと?」

アリサの言葉に首を傾げる少女。その時、この場に一人の男性がやって来た。

「エヴァ!さっき、凄まじい魔力を感じたけど、一体何が・・・」

「タカミチか。それならそこに居る奴らが原因のようだ。」

「彼女達が・・・」

タカミチと呼ばれた男性はすずかとアリサの方を見た。

「見た所、敵意は無さそうだね。」

「ああ。逃げている途中でここにたどり着いたみたいな事を言っていたぞ。」

「なるほど・・・君たち。少し話を聞かせてもらえないかい?」

タカミチにそう言われ、アリサとすずかは顔を見合わせる。

『この場合は、ついて行った方が良さそうね。』

「うん。私たちはこの世界については何も知らない訳だし・・・」

『それじゃあ、決まりね。』

そして、二人はタカミチとエヴァについて行く事にした。




すずかとアリサが案内されたのは学校らしき建物だった。二人はそのままエヴァとタカミチに連れられてそこの一室に入る。

「失礼します、学園長。」

タカミチがそう言って扉を開けると、その部屋の奥にあるデスクには一人の老人が座っていた。
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