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第二章
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第二章

 けれど僕にとっては彼女と会えることだけが楽しみだった。それを見てだ。
 僕は学校に向かう。学校での一日は何もない平凡なものだけれど満足していた。彼女を見る、それだけでもう充分過ぎるものだった。
 その僕にだ。周りも言ってきた。
「御前最近明るいな」
「何かあったのか?」
「あっ、何でもないよ」
 僕はこう周りの言葉に返すだけだ。
「別にね」
「そうか?何か最近な」
「雰囲気が違うんだよな」
「そうだよな」
 皆そんな僕を見て首を傾げさせながら言うのだった。
「何かな」
「違うんだよな」
「前とな」
「そうかな」
 僕はとぼけてこう返すことにしている。実際にそうしている。
 そんな日常だった。本当に周りから見たら些細なことだけれど僕にとってはとても大事なことだった。彼女の姿を見る、そのことだけでだ。
 そんなある日のことだった。帰りの電車に乗る。帰りは何もない。だからゆっくりと帰る。
 ところがだった。その電車に乗ると目の前にだ。彼女がいた。 
 そしてだ。にこりと笑って僕に言ってきたのだ。
「はじめまして」
「えっ!?」
「前川麻里子です」
 自分から名乗ってきた。はじめてその名前を聞いた。
「高校はもう御存知ですよね」
「う、うん」
 戸惑いながら彼女に答えた。
「それは」
「御名前何ていうんですか?」
「弥生大輝」
 問われるまま名乗った。気が完全に動転している。その中での返答だった。
「そうだけれど」
「そうですか。弥生君ですか」
「う、うん」
「二年生ですか?」
 今度は学園を聞いてきた。
「私二年ですけれど」
「同じなんだ」
 ついつい言ってしまった。
「それじゃあ」
「そうですよね。あとですね」
「あと?」
「毎朝見てますよね」
 単刀直入だった。それを言われて本当に心臓が飛び出しそうになる。自分でも胸からそれが突き破ったんじゃないかって思う位驚いた。
「私のこと」
「いや、それは」
「いいですよ」 
 ここでまたにこりと笑ってみせた彼女だった。
「そのことは」
「いいって」
「あのですね」
 完全に彼女のペースだった。そうして。
「それでですけれど」
「それで?」
「これからも夕方も一緒になりませんか?」
 こう言ってきた。
「どうですか?一緒に」
「一緒にって」
「これからはちらりとじゃなくてずっと見ていいですから」
「あの、つまり」
 ここでやっと彼女が言いたいことがわかった。そうしてだった。
 彼女はさらに言ってくる。僕に言わせることすらしない。
「学校もわかりましたし。名前も。ですから」
 そしてだった。言った言葉は。
「楽しく過ごしましょう。ずっと二人で」
 これで決まりだった。僕は何と
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