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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
春奈-クラスメート-part1/再会の世界
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てみたいよ。一体どんな育ち方をしてきたんだか。もっとあんたが小さいときに会うことができたら、親からあんたをかっさらって教育し直したげたいね」
「これも前に言ったと思うが、俺に親はいない」
確かに前にも言っていた。テファと同様親がもうこの世にいないからなのか?…いや、マチルダの脳裏にもう一つの仮説が浮かぶ。
「…それって、あんたがウルトラマンだから?」
「違う。ウルトラマンと俺は体を共有している。俺は同化しているウルトラマンの力を引き出し利用しているだけなんだ」
違った。どうやらシュウ自身がウルトラマンそのものというわけではないようだ。つまり、自分の中に別の誰かがいる…二重人格に近くて非なるものということだろうか、とマチルダは予想した。
しかし、彼の中のウルトラマンを恨みたくなった。テファの場合もそうだった。なぜシュウが身を削ってまでこんな腐った貴族ばかりが支配する世界のために戦わなくてはならない。なぜテファのような純粋で優しい娘が、エルフの血を引いているからって迫害されなければならない。始祖ブリミルもウルトラマンも、残酷な現実を突きつける。
「あ〜やめたやめた。これ以上今の話題のことで考えると鬱になっちまうよ。まるで自分は不幸な人間ですって主張してるみたいで腹も立つし」
あまり明るい話と思えない会話に業を煮やしたマチルダは無理やりながらも会話を中止させ、立ち上がって扉の方に向かった。
「仕事のことだけど、さっさと済ませとくんだよ。後、これからはテファのことも安心させること。あんたはあの子の使い魔でもあるんだからね、あの子の身を守るだけで満足しないことだよ」
言い残し部屋を出て行った時のマチルダは、少しだけ視線を鋭くしていた。マチルダにもシュウをこの世界に呼び出した責任はある。だが、シュウも使い魔として村に、この世界に留まることを受け入れた以上、ティファニアのことを考えて行動する責務がある。そのことから目を背けるな、という警告を現していた。
ともあれ、シュウからの提案には乗ってくれたようだ。
「…厳しいな。だが…俺に拒否権はない…」
懐からエボルトラスターを手に取り、まだ輝いていない宝珠を見つめた。
ティファニアを安心させる。それはシュウにとって不可能に近いことに思えた。いくつもの『責任』が彼から自由を奪う。それはこの世界に来る以前からまとわりついている。この光を手にした時よりも、ナイトレイダーになる以前よりもずっと前から背負うことになった重すぎる『責任』が彼の心を束縛する。
その責任を感じると、彼は自分がやはり村から出ていくべきじゃないか、とも考える。しかし使い魔であることを受け入れたから、ティファニアやマチルダがそれを良しとしてくれない。
(遊園地の時も、ナイトレイダーになったときも、この村に居ついても、俺は相変わらずだな。
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