春奈-クラスメート-part1/再会の世界
[3/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
かもしれないのに。だから、以前にもかけた問いを二度もかけた。
「話変わるけど…あんたはそれでいいのかい?戦ってばかりじゃないか。前に正義の味方を名乗る気はないとか言ってたけど、どうして正義の味方のつもりでもないって言ってるくせに、自分の身を傷つけてまで、故郷でもなんでもないこの世界を守ろうとしてるんだい?まさか、三流勘違い貴族みたいに、『命より名を惜しめ』って、死ぬことを適当に美化してカッコつけたいわけじゃないよね?」
「前にも言ったと思うが…俺は、戦いから降りることはできない」
視線を逸らしながらシュウは言った。
「貴族じゃないから名前の高名さなんてどうでもいい」
「そりゃそうだね。じゃあどうしてさ?」
「…仕事だ」
いつぞや、自分はナイトレイダー、戦うために存在する…なんて言っていたけど、それと同じような言葉であっさりと片付けた。その、『なぜナイトレイダーとして、またはウルトラマンとして戦う』理由を尋ねてるのに、わざと逸らしている。
シュウはその理由を応えるつもりはなかった。一度聞かれたときだってそれ以上は聞くなって言ったほどだ。なのにまたこうして尋ねてくる。前はお互いに隠していることがあるからって、詮索してこなかったはずだが。
「そりゃ、あんたは黙ってればそれで満足かもしれないけどね、あたしとしちゃ納得できないわけよ。テファもね」
シュウの考えていることを先読みしたのか、マチルダはそう言う。
「あんたがいない間に、またあんたがいなくなったことに気付いたテファが、一人で夜道の危険も顧みずに探しに行ってたって聞いたら、そりゃもうこれ以上勝手にどっか行っちまうのを許していいのか疑問に思っちまうよ」
なるほど、さすがに妹分がその使い魔を心配して一人夜の危険も忘れて村を離れたりした上、一時行方知れずになったのなら、この人のことだから間違いなく心配した。
「しかも、あんたのこと知りたくて勝手にここの荷物をあさってたんだよ?本当はそういうことするような子じゃないのにね」
あいつ人の荷物を勝手に覗き込んでたのか…。危険な武器も入れてあるから、勝手に漁るな、と後で一言言っておくか。と思っているとマチルダはまだ話を続けていた。
「訳があって話さないのは、前に話した時から、盗賊やってるあたしもわかる。
ただ、これ以上自分を追い詰めるようなことは控えるんだね。その自己犠牲じみた考えが、あの子までも苦しめるから」
「…」
自己犠牲、か。心の中で呟いたシュウ。あの優しすぎて綺麗すぎるテファのことだ、確かに心苦しく思っても仕方ない。それに…自覚がないわけじゃない。
「だから、今更一人で村を出て行きましょうってのも、ナシだよ?あの子のことだから、これ以上苦しめないためにって理由で一人村を出て言ったら、逆にあんたのことを気にし続けて苦しむに違いない
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ