第2巻
戦姫同士の睨み合い
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な。あなたに比べれば、気性の荒い野生の竜でさえ上品に見えるわよ」
「・・・・好意の申し出を侮辱で返すとは、実に上品な対応だな?」
「あなたの好意というのは、人の身体的特徴を嘲笑う事?人の世では、それはもっとも冒涜的な行為の一つよ。礼儀について学び直す事ね、エレオノーラ」
「生憎、戦姫などと呼ばれる前は、礼儀と無縁の生活をしていたのでな」
叩きつけられる敵意を鼻で笑って、エレンは肩をすくめた。リュドミラもまなじりを吊り上げて嘲笑する。
「礼儀や品性は、己の意思と努力で身に付ける事が出来る数少ない者よ。先程の謁見もそうだったけど、あなたからは、このジスタートを守る戦姫としての見織も、知性も品格も、露ほども感じられなかった。でも創造神黒鐵様がまさか本当にいるとは思わなかったわ、そして名乗るまで打擲していた時にあなたは内心笑っていたようね」
「ああ、創造神黒鐵様が謁見の間に現れるというのはある者からの予言だ。それと紅茶とジャム(ヴァレーニェ)の瓶を腰にぶら下げて歩くような女が、品格を語るか」
エレンの言葉が癇に障ったのか、リュドミラはついに怒りを露わにして言い返したのだった。全くこの二人の喧嘩は、まるでガキの喧嘩のように言っている様子を見ている我と互いの主を見ていたアリファールとラヴィアスだった。竜具ではあるが、内心ではリュドミラの後ろから見ているのを気付いているので申し訳なさそうな感じであったがそのままで良いと言ったのだった。あとはハリセンの準備でもしとくかと思った。
「今日は持ち歩いていないわよ。あなたと違って、時と場所は弁えているもの」
「そもそも、戦姫に見織だの品格だのが求められているなどという話は初耳だ。妄想を抱くのはお前の自由だが、それをさも常識であるかのように語るのはどうかと思うぞ」
烈しい怒りを瞳にたたえて、二人の少女は睨み合った。最早言葉という武器ではなく、自ら持っている武器で対抗をしていた。エレンは長剣を、リュドミラは槍を構えている。静かだった柱廊は一触即発の空気に包まれていて運悪く通りかかった官吏や役人達は、彼女らを見て見ぬ振りという素振りをしながら早急に立ち去る。
「・・・・えい」
突現可愛らしい声が響いて、エレンとリュドミラの頭を順番に硬い物に叩かれた様子だった。操光の錫杖「ザート」を持つソフィーヤ=オベルタス、硬い物は錫杖の先っちょだった。
「何を・・・・」
怒りの眼差しを見せたエレンだったが、その声の主がソフィーだったためか言葉を呑み込んだのだった。ソフィーヤ=オベルタスはまるで紫苑か麦穂のような柔らかい微笑を湛えて、エレンとリュドミラを見ていた。ちなみに紫苑と麦穂は拠点D×Dにいる黄忠と丹羽 麦穂 長秀の事だ、特に紫苑達を怒らせるとさすがの我でも後退り
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