十二幕 これからはずっと一緒だよ
6幕
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に優しくしてもらった。楽しかった。うれしかった。もうわたし、何にも要らない」
フェイはエルと手を絡めて繋ぎ、額を重ね合わせた。
「明日なんて欲しくない。わたしは今何より、お姉ちゃんの未来が欲しい」
マナの乱気流が勢いを増す。さながらミラ=マクスウェルが召喚された時のように、踏み止まれないほどの気流がルドガーたちを襲った。
やがて気流が晴れたそこには、色を入れ替えたような二人の少女がいた。
彼女たちは虹色のマナを零しながら地に足を着け、目を開けた。
「これが……エル?」
フェイ――否、エルがまじまじと自分の手足を、体を見渡す。色の抜けた髪は蜂蜜色に、濁った赤眼は澄んだ翠に染め直されている。顔立ちも違和感がない。元よりよく似た姉妹だったのだ。フェイの外見であってもエルとして認識するのに驚くくらい支障がなかった。
「アリガト、ヴェリウス」
さっきまでエルのものだった声。ルドガーもエルも慌てて声の主を顧みた。
元はエルの体だったものは無残なありさまだった。急激に老化したように髪の色は抜けて、帽子とリボンは滑り落ちてしまった。目の色も赤く濁っている。
『本当にこれでよかったのですか。フェイリオ・メル・マータ』
「うん。ホントにこれでよかった。ホントに――――ありがとう」
空気に融けるように、ヴェリウスは〈審判の門〉から姿を消した。
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