二十三章 幕間劇
乾布摩擦での手入れ
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・・・・・♪」
俺は一瞬自分を疑った、疲れているのは分かっているから幻かと思うが、違ったようだった。それに武田家の精霊からも、あれは幻ではないと言ってきたから間違いなさそうだな。
「どうなされた、良人殿」
「・・・・いや、何でもないがそっちに行って構わんか?」
「構いませぬぞ。コソコソするのは性に合わないと思いますが故、来るなら来るでいいですぞ」
まあたぶん春日は気にしていないのか、それとも周りに兵がいないからなのか。まああちら側から許可出たから行ってみたけど、やっぱり春日は上半身裸で何かをしているところだった。
「ところで、何してんの?」
「乾布摩擦にござる。良人殿はご存じありませぬか?」
「それは知っているよ、俺らのとこでもやるヤツはいるけど」
乾いた布で肌をこすって、新陳代謝を高める事は知っている。春日がなぜここでしているかは、ここに井戸があるからで汗を拭うにはちょうどいい場所なんだと。それについては理屈あっているけどなー。
「ああ、これは申し訳ない。このような格好で、お目汚しでしたな」
「いや、まあ何というか・・・・」
「ふむ。別に裸くらい、見慣れているとお聞きしましたが」
「まあ見慣れているのは確かだけど、そんなに堂々とされているのはあんまりなくてな」
「それは確かに。良人殿は艶福家ですからな、しかしこういう状況はあまりないのですかな?」
まあ仁王立ちしてるなんて、あまり見たことない光景ではあったけど。普通なら男が来たら、その布か手で隠すはずだけど。隠す余裕もないほど堂々とされては、恥ずかしくないのか?と聞きたいくらいだ。というか聞く方が恥ずかしくなると思うけど。
「して、良人殿はこのような所に何をしに?別に拙の裸など見に来た訳でもありますまい」
「さっき起きたばかりでな、顔を洗いに来たところなんだ」
「これはお邪魔でしたな。拙の事は気にせず井戸をお使いになればよろしい」
「そうさせてもらうよ」
俺は春日を気にしないように考えてから、空間から洗顔用の洗剤とタオルを取り出してから井戸の釣瓶に手を掛けた。俺の脇では春日はこちらの事は気にしていないかのような様子で両腕をゴシゴシとこすっていたけど。まあ近くに人がいたらシャレにならんからさっさと顔を洗おうとしよう。顔を水に浸してから、洗剤で顔に塗ってからそれを落とすように洗い落とした。
「ふう・・・・。スッキリした」
最後にタオルで拭いてからだったけど、相変わらずというか井戸の水は冷たいなと思った。こっちはトレミーにもあるが冷たいように調節しているし、お湯を使うときは赤い蛇口をひねるだけだしな。お湯は冬だけど、今は寒くない時期だから。頭もスッキリしたし、あとは眠気かなと思う。
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