二十三章 幕間劇
小さな笹舟×薫の気持ち
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「分かってるのー」
分かっているのかどうかは分からんが、まあいいか。そして自然的に空いた反対側の手には、薫が指をきゅっと握ってくる。でも少し困った顔をする薫であったけど、何かを心配しているようだった。
「薫ー?」
「あ・・・・・・」
「どうかしたか?何だかぼーっとしているけど」
「ううん、何でもないよ」
そうは言っても、薫の表情は晴れないままだ。もしかして指ではなく腕にぎゅーとでもしたいのだろうか。
「薫。何か無理しているだろ?」
「え・・・・・・」
「そうなの。薫は薫の思うようにしたらいいの」
「そうそう。俺や鞠に遠慮しているようでは、俺らにすぐ伝わるからな。だからそんなのしなくていいんだぞ」
「・・・・うん。ありがとう、鞠ちゃん、お兄ちゃん」
やはりというか、気にしている部分はあるんだろうな。こうやるのが恥ずかしいのかもしれないし、何か言いたい事があれば早めに言ってほしいけど待つしかないのかな。
「じゃあ・・・・・いいの?」
「うむ。俺ら相手に遠慮は無縁だ」
「うん・・・・っ。ありがとう、お兄ちゃん!」
「おっと・・・・」
瞬間に手にかかるのは先ほどよりも、重みを感じる。
「・・・・ふふっ。一度、こうしてみたかったんだぁ」
俺の予想通りとなったけど、薫は鞠みたいに俺の腕をぎゅーっとするのがしてみたかったみたいだった。その絵は、まさに恋人同士というより両手に花というのが言葉としてはなっているだろう。
「薫の思うようにしたらいいんだよね?お兄ちゃん!」
「まあな。でもこれくらいで遠慮していたのか?」
「だってお兄ちゃんはお姉ちゃんと鞠ちゃんの恋人で未来の旦那様になるんでしょ。でも薫は違うでしょ?」
「それはそうだけど、薫は俺の妹になるんだろ?」
「うん・・・・」
「だったらそれはもう家族であるから、遠慮なんていらないんだよ。今のところはこうしていいけど、人通りが多くなったら手を繋いでもらいたいけどな」
「一真の言う通りなの。それに薫、さっきよりずっと楽しそうなの!」
鞠の言う通りであって、さっきの曇った表情とは違って今は晴れた表情となっている。まあいいやと思いながら、川を目指す俺らだったがもう少しのようだった。今の薫はいつもの元気いっぱいでいつも通りの薫となったのだった。
「川までもう少しのようだぞー」
「一真、薫、急ぐのー!」
と言いながら俺と薫に鞠は、急ぎ足のように駆け出す俺達。甲府の街を出てから、薫に案内された川を流れていたのは先ほど作った笹舟だ。それも小さな小さな舟、俺らの母艦よりもとても小さな舟が水に浮きながら流れていく様子を見る俺達。
「うわぁ・・・・ホントに流
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