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戦国†恋姫〜黒衣の人間宿神〜
二十三章 幕間劇
逃走中・一葉を追え
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と思ったくらいだ、だが少し引っかかる点がある。

「詩乃と雫までは分かるがなぜ幽まで?」

「叱られるのも面倒だった故、幽に叱られ役を任せて場を離れたのじゃ。あれも余を止める立場にいながら、余を止めはせなんだのじゃ。余が責められるなら同罪であろ?」

相変わらず幽も切ない立場で、こんな主を持ったからなのか。まあいつもの事だけど。

「すると、何故か幽まで連中に寝返りおってな」

そりゃ当たり前だろうな。詩乃や雫も、幽に文句を言うのは筋違いだという事だ。幽が二人と意気投合する様子が絵のように浮かんでくるな。

「では、俺は三人に謝る手伝いをすればいいわけ?」

「いや、日暮れまで粘ればあれらの熱も下がるであろ。それまで余一人では暇じゃからな。で、考えながら逃げておったら、ちょうど主様がおったからの。しばらく二人っき
りになるのは、あのお仕置き以来じゃからちょうど良いと思って・・・・」

「俺はまたお仕置きでもしたいのかと思ったが、一葉よ」

「ふむ」

「それは正直に謝った方がいいと俺は思うが」

「な・・・・主様まで梅や鞠と同じ事を言うのか!」

なるほどな、梅と鞠に逃亡の手伝いを拒否られたのか。梅はともかくとして、鞠にまで論されたのか、足利将軍。

「それは明らかに、夜になったら割増されて怒られる流れというオチになるぞ」

「目一杯に沸かした茶釜でも、夜まで沸かせば中の湯も尽きるであろ。あれらもそこまで暇ではなかろうし」

「そんなに簡単に言うかもしれんが、怒りが溜まって吐き出す威力は凄まじいと思うのだが」

暇じゃなかったら、一葉を追いかけるほどじゃないけどまさか巻き添えをくらうとは思わなかった。あとは怒りが一葉と俺にも向けられそうだ、沙紀に言っておくとしよう。妾に頼まれたから仕方なく、逃亡をしたと。妻にお願いされては、さすがの俺もノーとは言えないからな。

「まあ良いではないか。主様は余と街を歩くのは嫌か?」

「こういう事情でなければ、よかったんだけど」

しばらく一緒に街を歩くのは、久しぶりなわけだし。

「細かい事は良いではないか。ゆくぞ!」

俺の言葉を聞いていないのか、一葉は俺の手を引いて、鼻歌交りに歩き出す。少々追いかけながらであるが、どうなっても知らねえぞ。一方躑躅ヶ崎館では、部屋にて歌夜と沙紀の言葉を聞いていたところだった。

「なるほど。一葉様は一真様を巻き込んで、街に・・・・・」

「ええ・・・・凄く楽しそうでしたけど、もしかしてお止めした方が良かったですか?」

「歌夜さんの言葉で考えや行動を改める人ではありませんよ。私は妻の一人ではありますが、お願いを聞かされた隊長は可能な限り聞いて下さいますが。今回は無理矢理のお願いだそうで」

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