芽吹いた孔雀草
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ご機嫌よう 友情 悲しみ 美しい 思い出 飾り気のない人
酷い目にあった
傍らで粘土をこね続ける自称・18歳から目をそむけ不平を飲み込んだ
確かに、この子供にしてはやけに大人しく、かといって大人だと断言できないアンバランスさは青年と言っていいだろう
任務でなければ声など掛けなかっただろうに
路傍の石と同じ存在を何故気にかけてしまったのか
いまさら悔やまれる
そもそもS級犯罪者として名をはせた自分が気にかけるなど有り得なかった
任務の遂行に必要だと感じたが故の、行動だったのだと自分に言い聞かせる
(・・・七面倒臭い任務押しつけやがって・・・)
変化でなく染め粉で黒くした髪を弄る
脳裏に任務を言い渡したリーダーの顔が浮かび、無性に腹立たしい
?雷の国に本拠地をおくテロ組織の補給商隊の割り出し及びその壊滅?
組織の末端であるこの商隊を尾行するのではなく、商隊所有の馬車にこうも安々と潜入出来るなど思ってもみなかった
2,3日もしない間に幹部クラスの商隊と合流するとの情報もある
気づかれないように尾行する手間を思えば随分と楽だ
組織の末端も末端、普通の商隊と変わらない
忍びや護衛を雇う金の無い人間は皆、商隊を頼り旅をする
この商隊にもそんな人間たちが大勢着いてきている
馬車に同乗しているのは余程の老人か病人ぐらい
1人だけでは確実に護衛の上忍に怪しまれただろうが、今回は大丈夫らしい
馬車に乗せるよう交渉したときの商人
口から血を流していたコンを見て、随分と気の毒そうにこちらを見ていたあの顔
どこからどう見ても病人といった子供に歩いてついてこいなどとは言えぬ小心者
良い拾いモノをしたと思った
あちらから進んで兄弟として行動するため、幻術をかける手間がいらない
だからといって粘土菓子の件は許さないが
正直に言って、このままコン諸共すぐに爆破させたい気持ちでいっぱいだ
しかし下準備もなしに無計画の爆破というものは美しくない
己の美意識を優先させ機が熟すのを待っているのだが・・・どうにも調子が狂う
文字通り現在も血反吐を流し続ける少年が原因だと・・・
・・・現在も?
「コン!?お前大丈夫か、うん!?」
粘土が血に染まり、抑えた手の間から血が流れ出している
顔色も悪く、医者を呼ぶべきかと考え粘土を片づけておく
「・・・げぇ・・・酔った・・・」
青白い(鬼鮫には負けるけど、うん)顔が血に染まった
しかしコンは意外と平気そうに持っていたタオルで血を拭いだす
「乗り物酔いで吐血すんの
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ