「E 'inutile, Silvana」
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「いやぁ〜まさかシルヴァーナがあそこまで演技が上手いとはな。」
「そうか?途中心配だったんだが。」
「・・・・さすがシルヴァーナだな。」
「?どういう意味だ?」
「別に。今お前が知ることじゃない。」
「変な奴だな。」
セリフを考えたのは、ほとんどラファエーレだが、シルヴァーナの演技のうまさも加わってバルチェリーニに伝わったのだろう。
しかし・・・・バルチェリーニの言葉は、二人のセリフよりもっと伝わった。シルヴァーナの心に。・・・・バルチェリーニの思いをきちんと受け止めて・・・・彼らは、旅に出る支度をし始めた。
・・・・
バルチェリーニと過ごす初めてで、今度はいつ過ごせるかわからない夜。二人は、少しだけ話し合った。
「シルヴァーナ。今夜は、ゆっくり休んで明日準備万端で行くんだよ。」
「ありがとう。・・・・・・・・。」
「?どうしたの?」
「いいや、なんでもないよ。」
「そうか。あ、あとこれ、お金。大切に使うんだよ。」
バルチェリーニが渡した袋の中には、約五十万円ぐらいのお金が入っていた。
「?!こんなには、いらない!!もらうのが申し訳ないし!」
「お金が無くては、生きていけないから。もらってくれ。」
「・・・・もう一度聞いていいかな?」
「何をだい?」
「あなたは、俺の本当の親じゃない。なのに・・・・どうしてここまでしてくれるかが、俺には理解が出来ない。」
バルチェリーニは、にっこりと微笑んで迷うこと無く、話した。
「ちょっと長くなるけど・・・・君がまだ、多分9歳ぐらいの時。倒れている君を養子に貰ったんだ。・・・・僕は、結婚なんかしてないから子供もいないし家族もいないしだったから君が自分の子供になった時は、嬉しかった。今日の今日まで眠ったまんまだったけど。それでも良かった、生きていることには変わりないし、君が目覚める事が楽しみで仕方がなかったんだ。・・・・君にも家族がいないぶん僕が・・・・僕が沢山愛情を注いであげようって・・・・。そう思ったんだ。
僕は、血が繋がってるとか繋がってないとか関係ない。だから僕の大切な子供に尽くすのさ。・・・・わかってくれたかな?」
「・・・・。」
「まあ、今分からなくても君に大切な人が出来れば多分わかるよ。さて、明日は早いんだろう?もう寝よう。体を冷やさないようにしなよ?・・・・お休み。」
シルヴァーナのおでこにかるくキスをして彼は、部屋を出た。・・・・ランプだけの薄暗い部屋の中でシルヴァーナは一人、自分の記憶の事とバルチェリーニが話してくれた事を考えていた。
「愛情・・・・か。俺にもわかる日が来るのだろうか?」
今わからなくても・・・・バルチェリーニの言葉
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