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戦国†恋姫〜黒衣の人間宿神〜
二十三章
暁前の作戦行動前
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と粉雪たちは突撃していったが、俺達はというとだな。

「えへへー」

小さな身体に、ニコニコの笑顔。朝を告げる陽光と共に俺らの前に現れた子は・・・・・。

「鞠さん・・・・・!?」

「一応聞くが、本物の鞠か?」

「えへへ。本物の一真なのー!」

元気一杯にそう言って、俺の胸元にぽふりと抱きついてくる。この声に重み、そして匂い。幻ではなく本物の鞠だった。

「ちょ・・・・・なぜここに鞠がいるんだ!」

幻ではないのは、確かなんだが。なぜこんなところにいるんだ?

「ええと、鞠ちゃん。どうしてここに?」

詩乃達でさえ予測不能というか完全なる予想外だったのだろう。予測できない戦いではあるが、ここで予想外の人物が現れた事で揃って形無しだった。

「あのね、一真が川中島に来てるって聞いたから、ちょっと探しに出てみたの」

「探しにって・・・・危険だろ」

「城攻めのお勉強もしたから、大丈夫なのー。それに、なんか恐い感じがした所には、近付かなかったの!」

マジか。その勉強をここで活かすためではなかったのになー。周囲を警戒している軒猿にも引っかからなかったということなのか?相変わらず圧倒的な直観力だな。

「そうやって歩いてたらね、小波ちゃんが声を掛けてくれたの!」

「あ、な〜るほど」

俺らの脇に現れたのは・・・・。

「ちょうど、妻女山の麓、軒猿の警戒網の外に出ておいででしたので・・・・」

「小波・・・・!」

「句伝無量の守り袋をお預けしようとも思ったのですが・・・・再び妻女山にお戻しするのは危ないと思いまして、こちらにお連れしました」

「いい判断だ、小波」

「お役に立てて、嬉しいです」

と言ってたけど、実際鞠がここに来るのは後程船で監視をしていたフェルトから聞いた。俺に話すと驚かないと判断したそうで。

「でも、どうして一真たち、こんなところに居るの?かくれんぼ?」

「かくれんぼ、か。まあ確かにそうかもな」

俺らは船と通信をしながら作戦会議モードにと。でも鞠の言い方にはどこか柔らかい空気にはなっていると思う。

「鞠さん。一葉様たちの様子はどうなっていますか?」

「んー。あのね。鞠、一真に聞きたい事があるの」

「聞きたい事?何かな〜。言ってみ」

「うん。一真は武田に味方するの?美空とケンカしちゃったの?久遠のことはどうするの?ひよもころも、どうしようって言っているの。一真が武田の味方になったら、越後の一真隊は、一真と戦わなきゃいけないのかなって。・・・・一真は、鞠たちと戦うの?」

じっと俺を見つめる高い高い雲のような澄んだ瞳は、俺を咎めるでもなく、問い詰めるとかでもない。ただ、静かに俺の答えを待っている。
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