二十二章 幕間劇
光璃の気持ち
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一瞬用がなくても会いに来てはダメかと言いそうになったが、それはやめておいた。前の評定の時の事を謝りに来たわけだ、一真隊の事や一葉や鉄砲の事を。
「ああ・・・・」
「別に内緒ではなかったんだが」
「別に・・・・平気。一真に知らない事があるのは、仕方ない」
「気にしている様子ではあるが、何か悔しいことでもあったか?」
「一葉様が一真隊にいたという情報、集められなかった」
そっちのことか。
「全ての情報を手に入れるのは、なかなか難しいと思うが?」
「でも、そうしないと、生き残れない」
まあ、どの時代でも、最後に勝つのは情報を握った者。どの国でもそうしているが、特に甲斐は情報集めが得意な国で、情報が足りなかったことについてはプライドが傷を付いたとでも思っているのかな。こちらも情報は新規にしているし、鬼が来る情報は常に最新化にしないと。あとは一真隊の情報というのは、発信したかった俺達に制限されたくらいだ。武田の密偵程度では知らないのも無理はないし、見た情報を書き換えているのも俺だし。
「俺らは情報を外から漏洩しないようにしてきたから、今回は俺達が悪い」
「一真の手勢に退けられたのなら、それはそれで悔しい」
「なら、次はうまくやることだな」
「次・・・・」
「失敗や抜けがあったのは、改善する余地があるという事だ。今回みたいに大局に影響しないところでそれが見つかったから、それはそれいいのでは?」
少なくとも、今の一真隊と黒鮫隊の情報源は俺にある。この先の不確定要素になる可能性は、限界まで潰すことは可能。
「・・・・・・」
「そう言う風に理解をすることではダメ?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・わかった」
「それで、こんなところまで来て考え事でもしていたの?」
「一真隊の事は、もう平気。考えていたのは、この国行く末・・・・」
光璃の視線は、流れる目の前の川へ。
「大きな嵐が来て、水嵩は増し、堤も崩れようとしている。それを・・・・どうするか。堤が崩れて水が溢れれば、日の本は取り返しの付かない事になる」
「それを最小限に抑える?」
光璃は目の前の大きな川が、治水の対象であると同時に、別な姿にも見えるのだろう。雨が降れば荒れ狂うこの川と、今の世界の流れを重ねて見ているとこの二つを共にどうすればいいのかを、考えているのかもしれない。
「詩乃達の献策もあった。流れをいくつかに分けて、まずは全体の勢いを削ぐ。それから、それぞれの合流点まで勢いを弱めて、受け止める堤もいくつも重ねる。全ての堤が切れても、その流れを本流に戻せるように・・・・新しい街を作る」
「今の歴史はどの辺り?」
「織田、松平
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