暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
43.無知なる神意
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ろうか?
 それとも───

「ああ、わかったよ」

 彩斗は嫌な考えがよぎるのを押さえこみながらパスタを口に運ぶのだった。




 落ち着かなかった。
 夕食を終えて部屋に帰った彩斗はどうも先ほどのことが気になってしょうがなかった。
 柚木の言葉と美鈴の言葉が無関係には思えなかった。
 そしてこの二つ……他にも色々なことが彩斗の中で繋がっていきそうだった。
 この答えの出ない解に近づくための方法を彩斗は知っていた。いや、誰かが教えてくれたような気がした。
 それでも彩斗はそれを確かめるような気にはならなかった。

「……喉乾いたな」

 喉の乾きに彩斗は一階の冷蔵庫へと足を運んだ。一階にしか冷蔵庫がないというのはなんとも不便なものだ。飲み物を飲みに行くだけでいちいち階段を下りなければいけないとは、労働力の無駄遣いだ。
 一階の冷蔵庫を開けた彩斗は絶望するしかなかった。
 飲み物が何も入っていない。

「ざけんなよ、あの親は」

 飲み物を買いに行かなくてはいけない気怠さに彩斗は頭を掻いた。
 はぁ、と深いため息をついてリビングに置きっぱなしだった財布をポケットに入れて、玄関へと向かう。
 履き崩した運動靴を履き、玄関に置かれていた鍵を手に持つ。ポケットから携帯を取り出し時刻を確認する。時刻は九時を少し過ぎたところだった。

「寒そうだな」

 玄関の扉に手をかけようとした時に柚木の言葉を思い出す。

「まさかな……なんも起きねぇだろ」

 そして彩斗は外へと足を踏み出した。

 これが緒河彩斗のターニングポイントだったのか。
 後にこの時の選択肢が間違いだったと思う時が来るのかもしれない。
 しかし、仮に時間が戻ったとしても彩斗はこの扉を開けたのだろう。
 それが決められた運命(さだめ)だったのだから───


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