暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
43.無知なる神意
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やつはもう帰ったのか?」
「いや、知らねぇよ。幼なじみだからって動向を全部知ってるわけがねぇだろうが」
神崎志乃とは小学生の頃からの付き合いで世にゆう腐れ縁というものだ。家が隣ということで親同士の付き合いもあり、思春期になってきたこの頃は若干複雑な気持ちになっている。気にしているのは、彩斗の方だけで当の本人の志乃は気にしてない。それがまたこちらとしては複雑だ。
「志乃なら唯ちゃんと一緒にさっき帰ってったよ」
退屈そうに足をぶらぶらさせている柚木が不意に答えた。
「だそうだ」
「言われなくても聞こえてるよ」
そこからは黙々と掃除をしていった。というのはわけではなくただ話すことがなくなっただけだった。
口を動かさずに掃除をした結果十分足らずで終わらせることができた。これなら最初から話すことなくやっていればよかったと後悔してももう遅かった。
結局彩斗たちが校門をくぐったのは、夕日がかなり沈もうとしている頃だった。
綾はまだ何かをしでかしたのか掃除が終わった後も職員室に呼び出されていた。
家が大体一緒の方向にあるということで彩斗と志乃、柚木はよく一緒に帰っている。
「なんかこうやって一緒に帰るってのも最初を考えればありえなかったよな」
「そうだね。最初は彩斗があんなしつこい奴なんて思わなかったからね」
こちらの顔を見て笑みを浮かべる柚木。他の奴がやっていればむかつくところだが、やはり彼女の顔立ちが可愛かったことで怒りの感情はなかった。
「そうですか」
柚木の言葉に初めてあったときの記憶が脳裏に蘇った。
暗い目をしていた彼女が彩斗は最初から気になってしょうがなかったのだ。
どうして気になったのかは今の彩斗にはわからない。もしかしたら過去の彩斗に聞いてもわからないかもしれない。
彩斗はどうにかして柚木に笑ってほしかった。そのせいで彼女に何度も嫌がられた。それでも止めることなく彩斗は歩み寄り続けた。
それを今の柚木に知られれば大爆笑されることに違いないだろう。
彩斗はただ彼女に───ほしかった。
「でも、あの時の彩斗はかっこよかったよ」
ドキッとした。心拍数が上昇し呼吸が荒くなりそうなのを必死で抑えこむ。
「あの時は余計だ」
平然を装って答える。
「あっ、そうだ!」
何かを思い出したように柚木が声をあげた。
その声に振り返る。
「今日の夜は外出は控えたほうがいいよ」
「なんだよ、唐突に?」
「いや、今日は……ちょっとね」
言葉を濁す。少し気になったが追求しても答えてくれそうにはなさそうだ。
「わかったよ。それに夜に出ることなんてそうそうねぇから安心しろ」
「なら良かった」
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