第2巻
訪問者×テナルディエ公爵の次の手
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腰をかがめてドレカヴァクは頭を下げる。もっと早く用意出来ないかとテナルディエは言いかけたが、この老人が一月か二月といったら相当な時間がかかるのだ。その事については、これまでの付き合いでよく分かっているが前回と同じく十体で構わんと言った。机に置いてある銀色の鈴を取り上げ、テナルディエは鳴らした。従者に言い付けて用意させたのは人の頭ぐらいある袋で中には金銭が入っていた。
「ところでヴォルン大公と戦姫はどうなされるので?」
「それは私が対処する。貴様は竜の用意を急げ」
分厚い手を振って公爵は退出を命じると、音もなくドレカヴァクは姿を消し、扉が閉まると公爵はこめかみを指で叩いていた。今頃になって酔いが回ってきたようだ。
「・・・・・仕方があるまい」
テナルディエは苦しみを籠めて呟く、己の手でヴォルン大公を討ちたいが、生憎身体は一つしかないし、兵も無限に用意できる訳がない。今回の一万の兵はほとんどがディナント平原から戻ってきた兵達なので、一万という兵を用意出来たが今回はあまり兵を用意できない。
「虫を潰すのに斧を用いるようではあるが、『七鎖』を使うとするか。他には・・・・・・」
鈴を鳴らし、従者を複数呼びつけるといくつかの事を素早く指示する。それが済むと水を持ってこさせて、一気に飲み干した。
「騎士には騎士、竜には竜・・・・戦姫には戦姫、か。ドナルベインがもう少し使えるならば、奴を連絡役にしてもよかったのだが」
銀製の杯に映る己の顔を見ながら、テナルディエはゆっくりと呟く。
「そういえば、ガヌロンもジスタートの戦姫と付き合いがあったはずだな。あの男はどう出るやら・・・・・」
と誰にも聞こえない呟きを聞いていたのは、トレミーからブリューヌ国内にばら撒いた無人小型偵察機が全てを聞いていたという事を誰も知らなかった。これを聞いていた無人小型偵察機は聞いた会話全てを送信してから、透明とステルスモードとなり、各従者や公爵を見張る仕事に戻ったのだった。しかもこれについてはドレカヴァクにも気付かれなかった事については、さすがのティグルでも驚いたのだった。
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