第四章
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第四章
大輔がここでまた言うのだった。
「ああ、お化け屋敷さ」
「お化け屋敷?」
「お化け屋敷がどうかしたの?」
「奈良橋が提案したんだよ」
こう皆に話すのだった。
「それはね」
「えっ、そうだったの?」
「皆で」
「うん、そうなんだよ」
事実は隠している。そのうえで皆に話すのだった。特に妙にクレームをつけてきたその彼女達の方を見てそう言うのであった。
「それにさ。実は俺そういう事務仕事とか苦手なんだよ」
「えっ、そうだったの」
「それじゃあ」
「そういう仕事も奈良橋が全部してくれるっていうし」
「えっ・・・・・・」
妙はそれを聞いて思わず彼の方を見た。少しだけ驚いた顔になった。
「それは」
「俺も一人じゃ何もできないんだよ」
大輔はそう皆に話すのだった。やはり事実は隠している。
「奈良橋がいるからなんだよ。いや、本当にね」
「何よ、それならそう言ってくれればいいのに」
「そうよね」
「全く。奈良橋さんって全然喋らないから」
「誤解しちゃうじゃない」
「わかってくれたらいいよ」
女の子達が納得した顔になって言うのを見て微笑んだ彼だった。
「それならね」
「それじゃあ頑張ってくれよ」
「私達もできるだけやらせてもらうから」
「それでね」
こうして文化祭の出し物は決定した。お化け屋敷に正式に決まった。その日の放課後にそれを申請する書類を書き終えて実行委員会に持って行く。しかしここで妙がまた大輔に対して尋ねるのだった。
「あの」
「何かな」
自分の後ろから俯いた顔でかけてきた彼女に応える。
「私、本当に何も」
「ああ、気にしなくていいから」
大輔は明るく笑って彼女に顔を向けて言葉を返した。
「それは」
「それはって」
「奈良橋にはこれから本当にやってもらえばいいから」
「これから」
「俺は見てるからさ」
にこりとした笑みを彼女に向けての言葉である。
「奈良橋が提出すればいいから」
「その書類を」
「うん、出して」
こう言うのである。
「それでいいからさ」
「それでいいの」
「いいよ、それからね」
また話す。そうしてであった。
「これからのことだけれど」
「はい」
「頑張ろう」
笑顔で言葉を続ける。
「いいよね、二人でね」
「二人で」
「実行委員だからね」
だからだというのである。
「楽しい文化祭にしようよ」
「わかりました」
大輔のその言葉にこくりと頷く。そうしてだった。
二人で準備をあれこれと進めていった。舞台を作ったりもしている。
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