終わった世界で
二 置き去り
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遠く。点となって飛び交う群。何かに群がっているらしく、一羽一羽は円を描いて空を廻り。このまま進めば、鳥の群がるその場所へと。辿り着くのにそれ程時間はかからないだろう、と。
「鳥? あれが鳥なの」
「……頭が無いまま飛んでるのとか居るし、アンデッド化してるみたいだけれど」
鳥、くらいなら。誰でも見たことがあると思うけれども。頭の無いまま、足の無いまま。最早、殆ど翼だけが飛行しているようなものまで。私の記憶……抜け落ちても尚、知識として残った鳥の姿から掛け離れたものも少なくなく。
一目では、鳥とは分からないかも知れないな、と。若しくは、失った記憶も個人差があるのだろうと一人、結論付けて。無数のアンデッド化した鳥たちの下。視界を遮る砂丘を越えて、その先。群がる先へと目を向ければ。
「っ、伏せて」
マトの手を引き、砂丘の影へと体を屈める。彼女にも見えただろう、無数の、人型の影。それらは、手に手に銃を持ち。此方へと向かう……アンデッドの兵隊。私たちの目指す場所から向かってきていたのだろう。隊列を組み、よろめく足、引き摺りながら。無数の鳥達に集られながらも此方へ向かう兵隊達の姿を見て。
何処か。見覚えの在る気がする、その姿。湧き出したその思いも、今は振り払い、忘れ。どうするべきかだけを考える。
「……どうする?」
「迂回……しても変わらない、かな」
どれだけ距離を取ったところで、新手を送り込まれるのは目に見えていて。迂回して進むという選択肢は早々に切り捨て。
敵の数は多く。中には、巨大な体躯。死肉を寄せ集めたような巨漢のアンデッドの姿も複数見え。此処で。怨敵の潜む地を前にして。無駄な戦闘、損傷は避けたい。只でさえ、昨夜のように。送り込まれた強力なアンデッド、逃げる事が出来ない状況は。今後も必ず訪れる。
逃げれるならば。
「逃げよう、マト。態々相手する必要は無い」
幸い。隠れる場所はすぐ近くに。目星を付けたその場所へと視線を向ければ、彼女も。私の意図を理解してくれて。
敵から逃れ、地下への入り口。続く暗闇へと駆け込んだ。
◇◇◇◇◇◇
暗闇の中を進む。
頼りは、彼女が手に持つ小さな灯りだけ。私たちアンデッドは暗所でも活動出来るとはいえ、完全な暗闇。光源のない世界では流石に、行動することなど出来ず。彼女に手を握られながら、この。暗く暗く。只管に続く洞窟の中、朽ちた線路を道標として、二人で進む。
使われることの無くなった地下鉄。彼女の手の中、コンパスを見れば、行く先は東。もしかするとこのトンネルは、このまま。私たちの目指す場所に繋がっているのかもしれない。それか、何処にも繋がってなど居ないのか。何れにせよ。
地上は、進むことが出来ない。この道し
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