第1巻
城下町散策
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理はその日の内に抑えておくのでな。領民達の生活を詳しく知るために必要な事だ」
「そう力説しているが、ジャムを付けたまま言う姿は説得力が無いぞ」
俺は指でエレンの頬を拭ってからジャムをそのまま舐めた事で、エレンは真っ赤に染まっていた。ははは、戦姫であるエレンでもこうされるのはないか、まだまだ若いねぇと思った。俺らは何千何万年生きているからか、たまにエレンを見ると反応が初々しく見える。
「どうした?こういうのは初か?」
「なんでもない・・・・・ティグルは何でもないかのような態度なのだな」
「そうか?」
「慣れている感じだとあまり面白みがない、次はあれだ」
エレンは指を差すと、少し離れた的当てゲームをする露店だった。俺も指差したらやってみたいなという顔をしていたから、俺がやってみる事にした。玩具の弩を使い木の矢を飛ばし、台の上に並んでいる騎士の人形を当てるゲームらしい。倒した人形に応じて商品ゲットらしいが、騎士の人形は大きさやポーズが違うようであった。
「どれを倒せばいいんだ?」
玩具といえ弩だから銃に似てはいる、まあ何とかなるだろう。弩の次が銃と考えているし、トリガーは銃と似ている。
「ん、あれとあれだな」
エレンが指差したのは、他のより大きくて木の矢では倒れそうにないと思うほどだった。ん?心眼で見たら人形の足を固定しているのが見えるが、イカサマの店なのか。俺は全てを見通す目を持っているからなのか、すぐに見えてしまった。
「二つか、まあ何とかなるか」
「一回で四発まで打てる。ティグルの腕前なら何とかなるのだろう?」
台の傍に座っている露店の主に銅貨を渡しながら、当たり前のように言うエレンだった。じゃあ少し風を利用して撃とうかなと思った。構えた後に主とエレンに気付かれないようにしてから、木の矢の先に風を纏わせてから撃った。すると一発目で倒れたのでエレンはさすがと言っているが、主は渋い顔をしていた。そして全弾撃って指定された人形を撃ち落としてからようやく主が言ったけど。
「あんた、何か使っただろう?」
「主さんよ、人形の足に固定されているのは知っているんだぜ?ここで大声で叫んだらどうなると思う?」
「・・・・・なぜそれを知っている?『知られてはいけない情報だったか?』い、いやそれはその・・・・・」
「俺が知らない情報を知っているかは主さんが考えな、だがな大抵こういう露店をやっている奴は結構見た事あるんでな」
主さんと話し合った結果、取引は成功し景品は熊のぬいぐるみと装飾の施されたリボンをもらった。こうでもしないと客が来ないらしいのでな、始めから渡す気更々なかったようだから、イイ景品で客を釣るというので結構儲けていたらしい。
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