第二章 彼と彼女の事情
第十四話 恨みと破壊と大革命 下
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吉君をこの戦線に投入するという判断は間違っていなかっただろう、戦略的には。
しかし僕は遙かに軽視していたものがあったのだ。
それが、今の事態を引き起こした。
「ねぇ、千早さん。今度の貴女は本当に千早さん?」
僕の方を振り返ったその顔は疲れはて、思考すらしたくないと言うような一種の死相が浮かび上がっていた。
何とも言えない罪悪感をひしひしと感じる
そう、僕は友香さんの心を考えることをしなかったのだ。
他人の心に触れたくないと逃げ回った挙げ句、他人の心を、それも優しい心をもった女性を傷つけてしまったのだ。
____13:30 四階渡り廊下___
「友香さん!」
偽物は私が討ち取ったんだもの、だから今度は本物だと思う。
本物がいいなと願望する。本当の貴女だったらどれだけいいだろう。
夢見心地な理性が、再びその寝ぼけ眼を擦りながらゆっくりと私を支配し始める。
うん、姿形はまさしく千早さんそのもの。
でも本当に貴女なのだろうか?確信など持てない。
だって千早さんは根本のところにいるんじゃなかったの?
あれ以来一本も私のところに連絡は入ってきていないからどちらとも言えない。連絡が来ていないのは私にFの代表を討ち取るまでは帰ってくるなという意思表示からか、それとも連絡できないようなアクシデント、たとえば千早さんに逃げられた、とかが起きたのだろうか。
うん、頭もきちんと動き始めたかな。
「ねぇ、千早さん。今度の貴女は本当に千早さん?」
振り向いた私の顔を見て唖然とする千早さん。
あぁ、きっと
私、きっとひどい顔をしているんだろうな。
____13:32 四階渡り廊下___
BCFの三クラスの連合軍を連れて僕は小山さんの率いている残存部隊の後ろに布陣した。呼応して代表殿が率いる本隊も再び正面から攻勢を掛ける準備を始めている。もしこの状態から再び戦闘が始まったとしたらほとんど虐めに近いことになるだろう。
「お願いです、降伏してください!」
ここで戦っても貴女には何も残らないのですから。
____13:33 四階渡り廊下___
彼女の言葉が凛と廊下に響きわたる。
鈴が打ち鳴らされるような、澄んだ声に私の頭は一気に冴え始める。
あぁ、そうか。
根本を踊らせるつもりだったのね、千早さんは。
振り向いたときに見えた光景を思い出す。だって今貴女の後ろには文月一の超問題児の吉井に、私のクラスの子とかBクラスの男子がいたりするのだもの。
そうとしか考えられない。
根本は妃宮さんによって倒され、戦争の大半は終わったのだろう。
「えぇ、みんな。戦闘終了よ。私の……負けよ」
そして、私が必死に隠したかったものがさらけ出され、私はみんなから蔑まれた目線を一杯に浴びないといけない少し先の明日(みら
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