暁 〜小説投稿サイト〜
短編
アスナ夢
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分の所へ戻ってくる。


それだけでも私は、嬉しいのです。


そんな語りが数十ページにも及んで書き連ねてあったのだから。
逆にこちらが恥ずかしくなってしまう。


「今後は、家を出る事を控えるよ。」


「えっ。」


「アスナと一緒にいたい。その思いは俺も一緒だし。それに、アスナは俺が他の女性と会うだけでも不安になるって言ってたし。」


―――というか、そもそも最初から気を付けるべき事だよな、反省するよ。


そう言って自虐的に笑うアキトは、目線を下に向けて。


笑みの意味を変えたように、眩しいくらいに清々しい笑顔を浮かべて。


「じゃあ冷めないうちに、アスナの愛妻手料理、いただきまーすっ!」





彼は、笑顔で平らげていく。
自分が愛情込めた手料理に手を伸ばし、美味しそうに頬張っていく。


当たり前な事なのに。
今はその当たり前が嬉しくてたまらなかった。


「ふふっ。……まだまだあるからねアキトくん。」


「本当にっ。ならパンをおかわり!」


「はいどうぞっ、めしあがれ!」


こんな風に。
当たり前の夫婦生活を過ごして、時に色々と不安がる事はあるけれど。


それでも、きっと自分たちは一緒に乗り越えていける。
少なくとも、アキトが自分の想いを受け止めてくれる限り。


「美味しいよアスナっ! やっぱりアスナの手料理は最高だよ!!」


「まったくもう。そんなに褒めちぎったら嬉しくなっちゃうじゃない。」


今のように、ずっと。
俺は、私は、笑い合える。


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