アスナ夢
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に従って、アキトはソファーに座る。
焼きたてのパンに、特製クリームソース。
コンソメスープにサラダ。洋風な朝食セット、香りだけで食欲がそそられる。
「ねぇ、アスナ。」
そんなアスナとの食事も大事だ。
だがそれ以上に、彼女の心情も重要な事だと思う。
夫婦である以上、隠し事はしたくない。
それが信条であるアキトは、アスナの目を見て問いを投げる。
「……日記、見たよ。」
「っ!?」
アキトの言葉に動揺が走るアスナ。
それ以上は、アキトの口から言葉を発する事は無く。
彼女の返事をただ待つばかりだった。
果たして―――彼女は言葉を紡ぐ。
日記を見られることを、寧ろ望んでいたかのように微笑んで。
「そっか、見ちゃったのね。」
「隠し事はしたくなかったんだ。だから見た事を伝えた。」
「そうだもんね。夫婦なら、隠し事は無しだもんね。」
そうつもりではなかったんだけどなぁ、なんて少しだけ悲哀混じりに呟いたアスナ。
その感情の意味は、日記を見られたから悲しいではなく。
自分の訴えを見られた羞恥心による悲哀でもなく。
隠し事は無し、という基本を自らが破ってしまったことによる悲哀なのだ。
故に、そのつもりはなかった。けれど無意識とはいえ、隠し事をしたのは事実だ。
そして日記に残した、ということは。
彼を本当の意味で信じきれなかった、という心情が片隅にでも宿っていたからだ。
彼の愛が、他の美少女に奪われてしまうのではないのか、という不安感が過る度に。
その感情を日記に書き起こさないと落ち着かなかった。
そんな日記を、正直見られたくなかった。
それがアスナの素直な感情なのだろう。
しんみりとした雰囲気。
それを打ち破ったのは、アキトだった。
「ねぇアスナ。」
その一言がきっかけで、アスナは彼の表情を見やる。
笑っていたのだ。
自分の日記の内容を見ても、彼は笑っていたのだ。
深く追求する事もなく、責めたてる事もなく。
「俺は嬉しかったよ。だってこんなにもアスナに、好きな人に、大事に思われていたんだなって。」
確かに。
アスナの日記の内容は、ひたすらアキトに対する愛の訴えだった。
彼と一緒にいたい。
彼と楽しく笑い合って過ごしたい。一緒にゲームクリアして、現実でも愛し合いたい。
他の女性と楽しそうにしている。しかも美少女だらけだ。
だから不安になる。お願い、他の子の所へ行かないで。
不安で押し潰れそうになるの。
でも貴方は私を愛してくれた。美少女と多く知り合い過ごしても、それでも最後は自
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