浅葱 夢
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商店街までの道程は明人が先導し、その後を浅葱が追っかける形に。
商店街に到着すれば、浅葱が誘ってきたので彼女が先導し、その傍らを明人が付き添う形に。
こうして二人のショッピングタイムが始まる。
「そういや何で俺と買い物なんだ? デートってな感じで緊張するんだが。」
「何言ってんのよ。デートじゃあなくて、材料を買いにここに来たのよ。」
明人のデート発言を気にすることもなく、浅葱は買い物籠に必要なモノを入れていく。
それを持つのは、女性よりも力のある男性―――荷物持ちの明人だ。
「材料?」
「そう。異性の友達の誕生日が近くてね、その人に手作りプレゼントする予定なの。」
「なるほど。……って異性!?」
荷物持ちでしかない明人の表情は憂鬱であったのだが。
浅葱の爆弾発言に、表情が一変して驚愕に色塗られる。
しかも、その内容が手作りプレゼントと来た。相手は男性らしい。
それを羞恥心無しに明人に打ち明けたのだ。好意を寄せる女性がそんなことを言えば、驚くのは仕方のないこと。
驚く明人とは対照的に。
嬉々として微笑みながら、買い物籠に必要なモノを入れていく浅葱は言葉を続ける。
「そう、異性。明人も知ってて、けれど一番思い当たらない人よ。」
その意味深な発言に、言われた本人は困惑を隠しきれない。
そもそも、明人は次第に浅葱の言葉の意味をネガティブに解釈していく。
異性の知り合いにプレゼントを贈るその行為は明らかに、同時に告白シチュエーションだろう。
それはつまり、この瞬間自分は失恋したのだ、ということ。それを薄らと理解していく。
相手に悪気はない。現に、彼女は微笑んでいる。
だから尚更、重たい衝撃が心に打ち込まれてくる。
恋とは、辛いものなのだな、と。
それから。
浅葱と会話をしながら買い物を進めていったのだが、自分がどんな表情でどんな話をして、どんな声色だったのか、まったく記憶にないまま。
「今日はありがとう明人、ここまでで良いわ。じゃあ、またね。本当に今日は助かったわ。」
終始彼女は微笑みを浮かべて、楽しそうにしていた事だけは覚えている。
「うん、またね。」
せめて、自分がここで笑って手振りをすることだけは覚えていよう。
そう内心訴えかけて、微笑みを浮かべて浅葱と別れ帰路へ足を運ぶ。
その道中、考えるのは浅葱との思い出だった。
―――小テストの時。
『ちょっとアンタ、全然出来て無いじゃあない。これじゃあ先が思いやられるわ、入学してきた時の知識を存分に使えば良いだけでしょう!』
その時、初めて二人きりになって付き添
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