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雲は遠くて
60章 G ‐ ガールズ、全国放送に出演!
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ちのことを、たくさん見ているものですから・・・」

 そんなことを語る、美樹であった。

「なるほど、なるほど。リーダーの美樹さんはマジメなんですね。僕も、この頃の世の中、
世界中が、カジノみたいなギャンブル場になっている気はしているんですよ。
それだから、すべて、お金まみれで、効率や利益の追求ばかりに追われて、
個人の考え方といいますか、思考自体も、どこかおかしくなっている気がします。
その結果とでもいいますか、個人の尊厳も軽くなって、収入の格差は広がっているような、
そんな気もしてきます。まあ、僕が考えるほど、単純じゃないわけでしょうけどね。あっはは。
そういえば、ネットで、先日の美樹先生の下北音楽学校の授業、拝聴させていただきました。
夏目漱石も、ニーチェも、僕も好きなほうなんですよ。さっそく僕も、あの宝島の本、
『まんがと図解でわかるニーチェ』を買っちゃいました。確かにニーチェの言うように、
『物の見え方は、その人の欲望で変わる』とか、
『世界には、事実というものはあるにしても、客観という立場自体が存在しないわけで、
それゆえに客観的な真実などというものはなく、
すべてには人それぞれの解釈があるだけ、世界はその解釈でできている』
・・・なんていうニーチェの言葉って、妙に心に沁みますよね、美樹さん」

「はい。わたし、夏目漱石も、ニーチェも、よく知らないんです。ただ、夏目漱石もニーチェの言葉も、
詩のようで詩心があると思います。それって、アフォリズムとでも言うのでしょうか、
簡潔な表現のなかに、人生や社会などの機微をうまく言い表した言葉ですから、
とても詩的な深さもあって、心地よかったり、よく理解できる気がしたりして、わたしは好きなんです。
ニーチェって人は、あらゆる価値観に疑いの目を向けながらも、生きることを肯定的に、
強く、楽しく、明るく、自由に生きようって言っているようで、好きなんです。
お昼の憩いの生放送で、こんなお話ししていて、いいんですかぁ?
でも、ニーチェの考え方って、現代の問題を考える上でも役立つ気がするんです。
『人が人生に意味を求めるのは、楽になりたいからである』とか、『人生のその無意味さの
苦痛に耐えるところから、今を生きるしかない』とか、『超人とは、別に、スーパーマンとか、
英雄のことではなくて、自分で価値を創造して生きることができる人物像の総称なんだ』
ということとか・・・。わたしは、好きなんですよね。いい詩を味わうような感じですよね、井藤さん!」

「あっはは。確かに、そうですよね。美樹さんの言うとおり、ニーチェって、詩人的ですよね!
人を元気にしてくれる言葉は、いいものです。僕も今を生きることに、
よく考えて行動すること、そんなベストを尽くすことにこそ、幸
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