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素直は恥ずかしい
第三章
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ままでいいからね」
 胴着のままである。それが凛々しく見える。
「だから早く」
「はい」
 何処か恋人が相手を急かすようなやり取りだった。だが若菜も健次郎もそれには気付いていない。二人はそのまま学校にあるリサイクル室に入った。
「ここに置けばいいからね」
「何か物置みたいですね」
 健次郎は部屋の中を見回して言った。確かにそこは物置を思わせる場所であった。様々なものが置かれ、そして雑多な雰囲気であったからだ。
「まあそう言われてみればそうね」
 そして若菜もそれに頷いた。
「何だかんだで皆ここに置いていくから」
「そうなんですか」
「そうよ。後は厚生委員会がやってくれるけれどあそこも他の仕事があるしね」
「それでこんなふうになってるんですか」
「何なら君が厚生委員会に入って何とかしてみたら?」
「えっ!?」
「冗談よ。けれど厚生委員会も悪くはないわよ」
「はあ」
 若菜の言葉に何処か戸惑っていた。だがそれは一瞬のことですぐに若菜の言葉に元に戻ることになった。
「じゃあ帰りましょう」
「部活にですか」
「ええ、部活まだあるんでしょう?」
「ええまあ。後は形だけですけれど」
「じゃあ私からの話はこれで終わり。それじゃあね」
「はい」
 二人はそこで別れて若菜はブラスバンド部に、健次郎は剣道部へと戻った。これでこの時の話は終わった。筈だった。だがそうはいかなかったのだ。


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