≪アインクラッド篇≫
第一層 偏屈な強さ
≪イルファング・ザ・コボルドロード≫ その弐
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のディアベルが他の隊を下げさせ様子見、左側で俺とインディゴが次のPOPを待つ。作戦通りの運びとなっている。しかしここで一つ予想外の動きが起きた。ディアベルが自身が組するC隊でのみ、ボスの周囲を取り囲んだのだ。
ここに来て今まで組み立てて信用してきた戦略を崩すのかと、心の中で疑問に思った。その疑問には青髪の騎士ディアベルは当然、答えてくれない。ただし、隣にいる別の騎士がこちらを向いて、バツの悪そうな風に答えた。
「ラストヒットよ。ディアベルはラストヒットを取ろうとしているのよ。……きっとね。……攻略はまだ続くし、次のボスの時にも士気を上げるため、攻略の象徴のためにも、第一層のレアアイテムとラストアタックの実績が欲しいんじゃないかしら? ……貴方は、スバルはこのことについてどう思う?」
ラストヒット、というものはその名の通りボスにトドメを刺すことで、このSAOのフロアボス戦においては、確実とまで言えるほどにレアアイテムを入手できる手段として、誰もが狙うスーパーチャンスともいえる。もしこれがデスゲームではなくただの楽しいSAOだったのなら、最終HPバーに突入した時にはルール無視モラル無視で皆で突っ込む≪神風特攻≫の微笑ましいお祭り展開が起きていた筈だ。
そのことを踏まえると、俺は、ほほうと言い、内心ディアベルに関心していた。
「成程、確かにそうだ。むしろ、あのリーダーシップなら逆にそっちのほうがいいかもな。……いや不平を言うやつはいるだろうがな。キバオウとかは根っこの方はただの平等主義だし、そういう手合いは納得はしないかもしれないな。俺としては……まぁこれぐらいなら許せる範疇だ」
「本当に? 貴方は別に不満はないの?」
俺がディアベルを弾圧しないことに不満があるのか、やや喰い気味に問いただしてきた。
「ああ、ないよ。俺の住処であるRTSとかでは強いヤツを育てることが最重要だから、そういうのに抵抗はないかな」
「ふーん、そうなの、ねぇ」
先程の不満など何処へやら、むしろ機嫌がよさそうにすら見えるインディゴは俺の方からメイン戦場の方、ディアベルとボスの方へと向き直る。そしてインディゴがボスを視界に入れた瞬間。
その途端、インディゴの動きがピタリと硬直し、表情が真っ青に凍り付いた。数秒後何か恐ろしい事実に気づいたかのようにわなわなと唇を震えさせ、目が大きく開き、立つのがやっとの様に足が竦んでいる。震える手で武器に手をかけようとするが予想以上に腕が動かないのか、掴み損ねている。彼女の震える唇がやっと音になって何かを訴えた。
「あ……あれ、……なに? タ、タルワールじゃ、ないの?」
インディゴの震える声に俺が反応するよりもずっと早く、何者かの声によって俺の思考は中断された。激しく更
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