第3巻
臨海学校前の買い物
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「ラウラの水着姿見てみたいな。可愛いし」
どうも千冬と一夏が話してるところまでは把握していたのだが、盗み聞きをする趣味はないので会話を意識してなかったところ不意打ちである。
「・・・・・・・・・・・・・」
突然の言葉に顔は熱を放って紅潮し、心臓の動悸は一気に上がった。ドキドキとバクバクで胸が高鳴って止まらない。歳が上なので中々こういう事には慣れてなく、無論かわいいなどと言われた事がない。しかも男性から言われたことは一回もないので。
「(か、か、可愛い・・・・?私が可愛い・・・可愛い)」
一種の暴走状態になってしまったが、コールする番号を間違えながらラウラはISのプライベート・チャネルを開いた。同時刻、ドイツ国内軍施設。そこでは現在、IS配備特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』通称『黒ウサギ隊』が訓練を行っていた。ドイツ国内の総ISは十機なのだが、そのうち三機を持っているのがこの部隊である。そして、それは名実ともに最強の部隊である事の証明となっているが、一番の最強部隊は国連軍のブラック・シャーク隊のIS部隊というのはお忘れなく。眼帯をした黒ウサギが部隊章であるこの隊は、隊長をラウラをはじめ全員が肉眼へのIS用補佐ナノマシン移植者である。元々ラウラの眼帯は機能制御装置であったのだが、現在では全員が肉眼の保護と部隊の誇りとして眼帯を装着していた。
「何をしている!現時点で三七秒の遅れだ!急げ!」
そう怒号を飛ばしているのは副隊長であるクラリッサ・ハルフォーフであった。年齢は22歳。部隊の中では最高齢であり、十代が多い隊員たちを厳しくも面倒見よく牽引する『頼れるお姉様』。その専用機『シュヴァルツェア・ツヴァイク』に緊急暗号通信と同義のプライベート・チャネルが届いた。
「受諾。クラリッサ・ハルフォーフ大尉です」
『わ、私だ・・・』
本来ならば名前と階級を言わなければいけないのだが、向こうの声が妙に落ち着き無く揺れているためクラリッサは怪訝そうな顔をする。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ隊長、何か問題が起きたのですか?」
『あ、ああ・・・・。とても、重大な問題が発生している・・・・』
その様子からただごとではないと思ったクラリッサは、訓練中の隊員へとハンドサインで『訓練中止・緊急招集』を伝える。
「・・・部隊を向かわせますか?」
『い、いや、部隊は必要ない。軍事的な問題では、ない・・・』
「では?」
『クラリッサ。その、だな。わ、わ、私は可愛い・・・・らしい、ぞ』
「・・・・・・はい?」
それまで規律整然としたクラリッサの声が、半オクターブほど高くなる。ついでに、きりりっとした口調は突然の意味不明な事態に対して若干間の抜けたものへと変わっていた。
『い、い、一
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