第2巻
初戦×VTシステム×ゼットン
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上だった、全身装甲だったのか余裕だったが。
(私は負けられない!負けるわけにはいかない・・・!)
ラウラ・ボーデヴィッヒ。それが私の名前。識別上の記号。一番最初につけられた記号は、遺伝子強化試験体C-0037。人工合成された遺伝子から作られ、鉄の子宮から生まれた。暗い、暗い闇の中に私はいた。ただ戦いのためだけに作られ、生まれ、育てられ、鍛えられた。知っているのはいかにして人体を攻撃するかという知識。わかっているのは、どうすれば敵軍に打撃を与えられるかという戦略。格闘を覚え、銃を習い、各種兵器の操縦方法を体得した。私は優秀であった。性能面において、最高レベルを記録し続けた。それがあるとき、世界最強の兵器であるISが現れたことで世界は一変した。
その適合性向上のために行われた処置『ヴォーダン・オージェ』によって異変が生まれたのだ。『ヴォーダン・オージェ』、疑似ハイパーセンサーとも呼ぶべきそれは、脳への視覚信号伝達の爆発的な速度向上と、超高速戦闘状況下における動体反射の強化を目的とした、肉眼へのナノマシン移植処理のことを指す。そしてまた、その処置を施した目の事を『越界の瞳』と呼ぶ。危険性はまったくない。理論上では、不適合も起きない。はず、だった。しかし、この処置によって私の左目は金色へと変質し、常に稼働状態のままカットできない制御不能へと陥った。この『事故』により私は部隊の中でもIS訓練において後れを取ることになる、そしていつしかトップの座から転落した私を待っていたのは、部隊員からの嘲笑と侮蔑、そして『出来損ない』の烙印だった。世界は一変した、私は闇からより深い闇へと、止まることなく転げ落ちていった。そんな私が、初めて目にした光。それが教官との・・・・織斑千冬との出会いだった。
「ここ最近の成績は振るわないようだが、何心配するな。一か月で部隊内最強の地位へと戻れるだろう。なにせ、私が教えるのだからな」
その言葉に偽りはなかった、特別私だけに訓練を課したということはなかったが、あの人の教えを忠実に実行するだけで、私はIS専門へと変わった部隊の中で再び最強の座に君臨した。しかし安堵はなかった、自分を疎んでいた部隊員も、もう気にならない。それよりもずっと、強烈に、深く、あの人に憧れた。その強さに、その凛々しさに、その堂々とした様に。自らを信じる姿に、焦がれた。・・・ああ、こうなりたい。この人のようになりたい。そう思ってからの私は、教官が帰国するまでの半年間に時間を見つけては話に行った。いや、話などできなくてもよかった。ただ側にいるだけで、その姿を見つめるだけで、私は体の深い場所からふつふつと力が湧いてくるのが感じられた。それは、『勇気』という感情に近いらしい。そんな力があったからだろうか、私はある日訊いてみた。
「どうしてそこまで強い
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