第二部 vs.にんげん!
第26話 おとなげ!
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特大の雪つぶてを両手でこさえ、大きく降りかぶる。ディアスも素早く路傍の雪の壁に手をつっこみ、雪をつかんだ。
「遅いですね、ディアスさんとウェルドさん。大丈夫でしょうか」
その頃宿舎のエントランスでは、ルカが所在なげに行ったり来たりしながら、ちょうど遺跡から帰ってきたばかりのイヴに言った。
イヴは宿舎の戸を閉め、肩や頭についた雪を払って肩をすくめた。
そして、無言で戸を指さす。
ルカは戸を開け、通りの先に目をこらした。
「何してると思う?」
「……雪合戦です。かなり本気の。本気の」
まさにその時、二階のノエルの部屋ではクラッカー作りが行われていた。
「まったく、何もこんな大量に貰ってこなくったって……」
ジェシカがせっせと成形した円錐状の筒の底に糸を通しながら、ノエルがぼやいた。
「そんな事言ったってさあ、どんくらい必要なのかわかんなかったんだもん。こればっかりは事前に教えなかったあんたが悪いんだからね!」
と、紙吹雪をこさえながらジェシカが口を尖らせる。
「でも、きっと取っておけばいいよ。またいつか何かの役に立つかもしれないもの!」
と、糸が仕掛けられた筒に、少量の火薬を詰めながらサラが言った。昨日は外界に出る為の馬車に乗り遅れて、さぞ落ち込んでいるのではないかとノエルは危惧していたのだが、その様子は見受けられない。
「役にたつ、ねえ。ふーん。じゃ、あたしが役に立たせ方考えてあげるよ! これで何か面白いモノ作って売りさばけば……」
ジェシカが火薬の乗った皿に顔を寄せる。鼻をヒクヒク動かして、次の瞬間、凄まじいくしゃみをした。
火薬が舞い上がる。
ノエルが怒った。
「ちょっと!」
「おっ、おっこんないでよ! ちゃんと片付けるからさ」
ジェシカが窓を開く。その時、紙包みに分けて置いてあった火薬を窓の桟から外に落とした。
ノエルの部屋の下では、パスカがアッシュに話しかけていた。
「あのさ、俺すげーこと考えたんだ!」
「えっ? なんだい?」
「遺跡の敵ってさ、結構数が多いと面倒くせえって思うよな。俺の火のトラップで焼き尽くせないこともないけどさ、お前の油のトラップとあわせたらもっと早く片づかねぇ?」
「ああ、そうかもね」
「試してみようぜ!」
「ここでかい?」
「そりゃそうだ! 実戦で試してみたって遅いだろ?」
アッシュが少し困った顔で、足止めの油のトラップを敷くと、その上にパスカが火のトラップを重ねた。
「よっしゃ! せーので発動するぜ。せーのっ!」
火薬の包みがトラップの上に落ちてきた。
「何をしているんだ君たち!」
真っ白になったウェルドとディアスの間にアーサーが走ってきて割りこんだ。
「ああっ!? 男の勝負だ、邪魔すんじゃねえ!」
「勝負だと?
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