第四楽章 心の所有権
4-1小節
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精霊に呪われた証のアカ。
「はい。わたくしなんかに、どこまでできるか分かりませんが。やってみようと思います。知らんぷりで生きられるほど、わたし、強くないんで」
ジゼルは本当に――本当に困ったというふうに、14歳の少女らしく苦笑した。
その時の彼女の表情を、それに対して荒れ狂った感情を、俺は一生忘れない。
〜*〜*〜*〜
『――以上が今回の任務です。ご質問は?』
「ありませんわ。いつもありがとう、ヴェル。それじゃあちょっとリーゼ・マクシアまで行って参ります」
『お気をつけて』
ヴェルとの通話を終えてGHSを懐に仕舞って、更衣室を出た。
今回の任務は、逃亡中のユリウス室長と接触し、室長が持つ分史世界の解析データを回収すること。
共謀して逃走されてる室長の身の上を考えればわたくし一人で行ってもいいのですが……
対策室へ入って同僚に挨拶しながら自分のデスクに座った。
取り出したるは分史対策室のメンバーリスト。分史対策エージェント全員分の顔写真付きプロフィールです。たった21人、されど21人。気分はちょっとした夜間クラスの先生ですわ。
この中から、ユリウス室長でもリドウ先生でもなく、わたくしが、独断で、チームを編成する。
「各チームリーダー、集合!」
室内にいた内、5人のエージェントが反応して、わたくしのデスクまで来てくださいました。
「社長から直々の指令です。ユリウス前室長から分史解析データを奪還します。各班から二人、前室長相手でも生き残れるメンバーを出してください」
リーダーたち、そして声が聞こえる範囲にいたエージェントたちが息を呑む。
相手が「あの」ユリウス室長ともなればこれくらいは想定内。
いいのよ、それで。恐れてくれていい。生き残れさえすればいい。クランスピア社は室長を追っているんだという体裁さえ繕えれば。
解散後、Aチームリーダーだけは残ってもらう。申し訳ありませんが、Aからは彼ともう一人に出てもらうと決まっていますから。
「ごめんなさい。カールもシェリーもずっと二人だけで任務でしょう? キアラとモニカの殉職以降、Aチームに入れるだけの人材を探しているのですが、なかなか見つからなくて……不足分はわたくしが彼女たちの《レコード》で補いますから、ご容赦くださいまし」
ルドガーが正規エージェントであればすぐにでもAチームに突っ込んでやりますのに。
「気にしないでください、補佐。あいつらがいなくても、二人いればやっていけます。お気遣いだけ、有難く頂戴します」
「ごめんなさい。今日もよろしくね」
「はい。失礼します」
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