A's編
終わりの始まり
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「・・・・え?」
「身勝手かもしれないが、あの娘を孤独に追いやり、罪を押し付けたのは悪いと思っている。でも、私だって好き好んであの娘を封印したかったわけじゃない」
「あんた!?」
「あの娘はほんとにいい子なんだ・・・・・孤独も死期も全て受け入れたうえで全部耐えて誰かに迷惑をかけるよりはいいとそのまま死ぬことを受け入れているんだ!!・・・・・・なんであの娘なんだ!!どうしてあんないい娘が苦しまなければいけないんだ!!」
最後の方はいつもの落ち着きをかなぐり捨てて叫んでいた。
「頼む・・・・・・あの娘を助けてくれ・・・・・・・・」
今にも泣き出してしまいそうな声を絞り出しその一言を告げる。
それこそがグレアムの本音であった。
この11年もの間誰にも言えなかった言葉。
いや、いう訳にはいかなかったのだろう。
前回の事件で死なせてしまったクロノの父のために、闇の書事件を今代で終わらせると決意した彼にはその言葉を噤むわけにはいかなかったのだ。
言ってしまえば、彼はもう何のできなくなってしまうから。
言ってしまえば、彼はもう全てを投げ出してしまうから。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・必ず」
振り向くこともないままクロノはそう告げ部屋を出た。
後に残されたのは龍一たちと下を向いたまま涙を流すグレアムだけであった。
「ええ。分かりました」
クロノからの連絡を終えた小林は終結しつつある増援部隊の確認をしながらクロノからの報告を受ける。
(こりゃあ・・・何が何でも今回の作戦は負けられなくなったな・・・)
そう思った小林は終結した部隊を振り向く。
「諸君。今回の任務はこれまでの比じゃない危険が伴う。相手はただ一人だが神域に届きうるチート野郎だ。一瞬でも気を抜けば死ぬ」
その言葉に緊張が走る。
「今回の主は闇の書の浸食に侵されながらもただ周りの皆を思って独り死を受け入れていた。たった9歳の女の子がだ。本当に馬鹿みたいにいい娘だよ。・・・・・だが、理不尽な悪魔はそんな彼女の命を奪おうとしている」
部隊を見渡しながら続ける。
「お前ら・・・・許せるか?」
「「「「「「「否!!」」」」」」」
「そうだ!!あの娘をそんな糞みてえな悪魔から取り戻してやりたいところだが、あの野郎、あの娘の命を懸けるのに『俺の命だけじゃ釣り合わねえ』って言いやがる、そういうわけだから、お前らの命を俺にくれ。あの悪魔を無理やりにでもテーブルに着かせる。それでようやく勝負ができる。勝負は一度、負ければ全てが終わる。だが、相手はジョーカー・・・とんでもなく不利な条件だが・・・お前らが持ち場を墓穴だと思って全うすれば僅かだが可能性が開ける・・・・や
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