A's編
不穏な影
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見の青年であった。
まさか、あんな細い体でビルを真っ二つにしたとでも言うのだろうか?
(いや、違う!!)
ヴィータは長年の勘からあの青年は見た目道理ではないことを悟った。
(・・?何だあれ?)
よく見ると青年の周りには何か光るものが散りばめられていた。
(待てよ・・・確か同じものを見たことあるような・・・)
ヴィータが何かを思い出そうとしていると、青年の腕が動き。
彼女は何の反応もできないまま、更に彼女の周囲が突然切り裂かれた。
「な!?」
「やはり・・糸一本一本の制御がまだ甘いな」
青年のセリフを聞き、ヴィータは確信する。
(道理で見たことあるはずだ!!あれはシャマルのと同じ術だ!!)
「特別機動隊黒狼連隊所属、近松銀治だ。お相手仕ろうぞ。・・・ガキ。・・・・小便は済ませたか?神さにお祈りは?部屋の隅でガタガタ震えて命乞いをする心の準備はOK?」
銀治が両手と口で魔力で出来た糸を伸ばす。
近松銀治はその名が示す通り、初代近松門左衛門を祖とする人形師である。
まあ、人形師としては門左衛門が初代で正しいのだが、魔導師としての歴史の始まりは更に三代後からである。
彼の一族は、傀儡の制作や魔力糸による使役を得意とし、特に銀治は糸による斬術を得意とする。
シャマルのそれが拘束を目的とするのに対し、銀治は切断を目的とするため、極限まで細く、視認するのは非常に難しい。
「っふ!!」
「グラーフアイゼン!!」
銀治が腕を振るうのに対し、糸をほとんど視認できないヴィータは鉄球をあたり一面に放って軌道を確認し、ひたすら躱し続けた。
ザフィーラは『盾の守護獣』の異名の通り、己の防御力には自信を持っていたが・・・。
「・・・・・・・・・」
「くっ!!」
目の前の男、黒田吉彦の法衣の下から次から次に出てくる武器にその防御も悲鳴を上げていた。
最初は刀剣類だけだったのだが次第に武器がどんどん増えていき、今や軍用アサルトライフルから対戦車スナイパーライフルまで出てくる始末である。
黒田吉彦は正確には人間ではなく、妖怪と呼ばれる化物の類である。
化物とは、夜の一族の様な『化物じみた人間』とは根本的に異なり、言ってしまえば『概念やエネルギーが生物の姿を模ったもの』であり、物理的な肉体の制約に縛られないため、物理法則を無視したような動きや能力を持っている。
黒田の本性は『破戒僧黒田坊』。
飢饉や野盗に苦しむ子供たちがその苦しみから逃れるために思い描いた、自分たちを助けてくれる正義の味方。
黒田は野盗から子供たちを救うための『あらゆる武力』の概念が具現化した存在であるため、武器と名のつくものは全て扱うことができ
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