入学編U
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夜達の周囲付近に座っていた全ての生徒は驚きだった。
「恭夜!!!!」
「・・・・・・・!!」
達也の声が恭夜の耳に響く、恭夜の顔は達也の声に驚いたのか、無表情になっていた。
「いい加減にしろ、恭夜」
「おー怖い怖い・・・・・・・・まあ、名前で呼んでくれたのは、嬉しいぜ。お前が兄さんとか言ってると気持ち悪くて鳥肌が立ってたんだ、ありがとよ」
恭夜は達也に顔を近づけ、不気味な笑みを浮かべながら言う。
「まあ、折ったのはやり過ぎかなぁ?治すだけだ、いいだろ?」
「・・・・・・・・」
恭夜は沈黙を肯定と受け取り、右手が折れている男子生徒に近づく。
「折れてるなあ、痛いだろ・・・・だけど大丈夫だ・・・・すぐ治る」
恭夜は左手を男子生徒の右手に近づける。
「や、やめっ・・・・・・!」
「戻すだけだ」
メキャッ
また、不快な音を立て男子生徒の右手を元の位置に戻す。
「─────!!!」
男子生徒は声にならない叫びを上げ、口をあんぐりと開けて目を見開く。
恭夜は達也の元へ行くと男子生徒の方へ振り返る。
「良かったね、ここが戦場なら君、死んでたよ?・・・・行くよ、達也」
恭夜は先程の顔とは違いいつも通りの不気味な笑みを浮かべながら言う。
「ああ」
◇◇◇◇◇◇◇
「ねー達也、つまんなーい」
恭夜はダルそうに前の席へもたれながら言う。
それもそうだろう、入学式まではあと二十分ある。
達也も退屈していた、通信制限が掛かっている講堂の中では文献サイトにアクセスできない。
端末に保存したデータは読み古しているし、何よりこんな所で端末を広げるのはマナー違反だからだ。
「あと20分だ、我慢しろ」
「・・・・・・・・無理!」
「死ね」
「達也って俺にだけ酷くない!?」
「気のせいだ」
「・・・・・・・・・・・・うぐっ!?トイレ行ってくる!」
「ああ、分かった」
恭夜がトイレに行き、何もすることが無くなった達也は、クッションの効いていない椅子に深く座り直して目を閉じた。
そのまま睡魔に身を委ねようとした、のだが、
「あの、お隣は空いていますか?」
その直後、声が掛かった。
目を開けて確認すると、やはり、自分に掛けられた声。
声で分かるとおりの、女子生徒だ。
「どうぞ」
ありがとうございます、と頭を下げて腰掛ける少女。
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