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クルスニク・オーケストラ
第一楽章 嵐の後の静けさ
1-2小節
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力者とは異なる弊害をジゼルにもたらす。
 それを近くで見てきてなお、俺はルドガーを最優先にして、ジゼルを損ねる命令を出す。

「社の方針に(もと)らない限りで承ります。――室長はよいように動かれてください」

 ジゼルが立ち上がって敬礼した。

「《《《《《ご武運を。無事のご帰還を心待ちにしております》》》》》」

 はあ。まったく。しばらく離れ離れになるんだから、見送りの言葉くらいジゼル自身で言ってくれてもいいだろうに。
 部下に慕われるのは上司冥利に尽きるが、俺個人としてはお前の声を聴きたかったよ。

 まあ、しようがないか。

 これがジゼル・トワイ・リート。クルスニクの《歴史》を一身に背負う「記録」エージェントなんだから。
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