悪党と鬼女
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恐らくそうです。先程発現したばかりなので、俺にも詳細は分かりませんが…。そんなことより、貴方がここの人間じゃないというのなら、俺をここから連れ出してくれませんか?そうすれば、俺の知っていることは全部話しますから。このまま、ここにとどまれば遠からず人がきます」
「(どう思うリャナンシー?)」
「(提案を飲んでもよろしいかと。この少年が原因なのは間違いないようですし、この少年から聞き出す以上の情報を得られるとは思えません。遠からず人が来るというのもそのとおりでしょう。それに周囲には民家も少なからずあります。集団昏睡ともなれば、大騒ぎになるでしょうし、警察も出てくるでしょう)」
確かにそのとおりだ。卜部とて、警察沙汰は絶対にごめんだし、進入が気取られるのはまずい。研究についても詳細はすでに調査済みだし、目の前の少年を確保すれば、先のことの情報も得られるだろう。長居は無用であった。
「よし、小僧。ついて来い。但し、少しでもおかしな真似をしてみろ。鉛玉を食らわすからな」
「分かりました」
少年に反抗する意思はなさそうであったが、念には念を入れて、リャナンシーを後ろにつかせる。
幸い何事もなく脱出に成功する。まあ、障害となるはずであった警備員も、研究者も、孤児院の職員も一切合切昏睡状態にあるのだから、当然といえば当然である。逃走用に用意した車の後部座席にリャナンシーと共に座らせ、自身は運転する卜部。しばらく走らせた後、情報を吐き出させようとして、肝心要の少年が眠ってしまっていることに気づいた。
「おいおい、おねむかよ。全く今日は厄日だぜ」
「緊張が途切れて疲労が一気に出たのでしょう。よいではありませんか。聞き出すのはいつでもできます。今は眠らせてあげましょう」
ぼやく主にそう言って、忠実な鬼女はとりなしたのだった。
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