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FOOLのアルカニスト
悪党と鬼女
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外誰もいない部屋で透真は一人ごちた。この実験室は研究員の安全の為に、シャドウを逃がさない頑丈な作りになっている。切り札である『双界の波動』を使ったのは時期尚早かとも思ったが、この実験室にはガスを噴出する機構もあったことを考えれば、この行動は最善といえよう。いかに『ペルソナ』に目覚めたとはいえ、眠らされてしまってはひとたまりもないからだ。

 「よりにもよって精神無効だけないとか、まじないわ…」

 『PERSONA2』におけるレアアルカナ『FOOL(愚者)』には1つの特徴がある。そのアルカナに属するペルソナには投具・戦技・破魔・呪殺・神経・精神・魔力無効という破格の戦闘相性を低レベル高レベルを問わず、共通で持っているのだ。そんなレアアルカナのペルソナを手に入れたのは嬉しい誤算だったが、よりにもよって、精神無効だけ喪失するとはついてない。

 「まあ、贅沢をいったら罰が当たるか……。しかし、自らペルソナ化を選べる透夜がどうして精神薄弱なんだか?逆だろうに」

 真実を知らない透真はそんな疑問を抱きながら、脱出する方法を考える。
 〇彼がこの部屋に入れられたときの出入口
 ⇒厳重に施錠されている上に合金製。魔法で破壊するにしても、こっちが先にへばる可能性大 
 〇部屋の周囲の壁
 ⇒同上
 〇シャドウがでてきた場所
 ⇒他にもシャドウがいる可能性大、逆に奥に入ってしまう可能性大

 正直、どれもいい方法とは思えなかった。

 「せめてペルソナが物理型だったらな。無理やりこじあけるという方法もあったんだろうが…」

 確かに透真のペルソナ『トウヤ』は物理型ではない。だが、運0というデメリットと引き換えに低レベルとは思えない魔力・知恵が高い魔法特化型である。肝心の攻撃魔法はアギ。実に低レベルらしい。これがアギラオクラスなら、扉ごと吹き飛ばすこともできたのだろうが…。

 「アギじゃ無理だってなんとなく分かるんだよな。かといって、俺の力じゃ九十九針の威力も微妙っぽいし……。うん?熱と物理……!」


 何かを思いついたらしい透真は、施錠された扉に向き直る。

 「駄目で元々だ!やるだけやってやる!ペルソナ!アギ!アギ!アギ!でもって、九十九針!九十九針!」

 黒衣の賢者が顕現し、火球を連続で扉に叩き込む。そうして赤熱した扉に、とどめとばかりに高速で巨大な針が何発も打ち込まれる。さしもの合金製の扉もこれにはたまらず、ひしゃげて吹き飛ぶ。

 「ふう、一か八かだったけどうまくいったな。物理スキルあってくれてよかったよ」

 アギでは融解させるにも火力が足らないし、吹き飛ばすにも威力が足りない。夢見針も同じで、貫くにも吹き飛ばすにも威力が足らない。だが、アギは連続で叩き込めば、赤熱させてもろくさせるくらいは
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