第四話:第71層攻略作戦
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場に現れた時、レンは昔のように明るく溌剌とした雰囲気を纏っていた。自分とキリトだけに見せたあの達観した態度とは違う、かつて希望の象徴とまで謳われた頃の彼に。彼はこの攻略組という組織を率いる為に、今の己に過去の己の仮面を被せたのだ。
それがどれ程辛い事なのか、アスナには想像もつかない。ただ、この先もずっと過去の仮面を被り続けたなら、そう遠くない内に彼は限界を迎えて壊れてしまうだろう事は容易に想像できた。
なら自分に出来ることは何か。それはまだ分からない。だからせめて、彼が壊れてしまわないように支えて上げようと決めた。
「みんな、集まってくれてありがとう。これから攻略会議を始めるが、まず最初に自己紹介をしておこう。もしかしたら知っている人もいるかもしれないが、オレの名前はレンだ。今回の作戦において血盟騎士団副団長であるアスナと共に指揮を執ることになった。精一杯努めさせてもらうから、よろしく頼む」
レンの登場により場が少しざわつくが、自ずとその声は消えていった。
どうやら彼は自分の役不足を心配していたようだが、今この場にいるプレイヤーの中で、いや、このアインクラッドにいるプレイヤー全てが彼を知らない者はいないと言っても過言ではない。
なにしろ、《希望》と謳われた程である。彼が一度表舞台から姿を消した後でも、その輝きは失われることはない。
全プレイヤー中最強と名高いヒースクリフよりも、ある意味、下層にいる人達も含めて有名である。
そんな人が、役不足なはずがない。寧ろ、勢いに火がついた程だろう。
「今回のボスは有翼系の大型ドラゴンだ。一撃一撃のモーションが大きく見極め易いけど、その分威力はこれまでのボスの中でもトップクラスに重い。十分注意してくれ。今回の攻略では盾役のプレイヤーが鍵になってくるだろうな。細かい作戦は追い追い考えるけど、取り敢えず攻撃にはなるべく当たるな。一発で死ぬ可能性も十分にある」
有翼系のドラゴン『フェルゲニシュ・シャドウムーン』の特徴はレンの言った通りであった。モーションが大きく、一撃が重い。怒り状態になれば動きは早くなるが、格段に早くなるというわけではない。また、ブレス攻撃の範囲が広いという注意点もあるが、その程度だ。警戒すべきは油断による被ダメージ。それさえ注意すれば、今回の攻略はうまく行くだろう。
「いいか、よく聞け」
レンが一歩踏み出た。纏っている気迫がこれまでとは段違いなのを感じて、アスナは思わず喉を鳴らした。
「敵はこれまでと比べるとそこまで厄介というわけじゃねえ。だが、ここに来るまでに偵察部隊の2名が死亡している」
血盟騎士団が派遣した2名の偵察部隊が誰も帰って来なかったという報せは、瞬く間に攻略組に広まっていた。なにせ、階層攻略戦に関係する死者は本当に久しぶりだったの
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