第七話 安東中佐!相撲ごっつあんです!!その十一
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「幾ら美味いものを飲み食いしよか服を着て豪邸に住もうとも人は必ず死にもっそ」
「はい、それは」
「避けられませぬ」
「人は必ず死ぬものです」
「そして輪廻の中で生まれ変わります」
大山と桂も西郷に答える。
「だからですか」
「贅沢を求めずにですか」
「元老はご自身は質素に生きられ」
「公のことを考えていかれますか」
「陛下を、皇室の方もまた質素でごわす」
この時代も皇室の質素さは変わらない、天皇皇后両陛下の年間予算は公のことも含めて何と三億である、とある国の三代将軍様個人の贅沢の為の費用の二百分の一だ。
「それを考えると」
「質素であらねばならない」
「そう言われますか」
「明治、昭和両帝はまことに質素であられ申した」
まさに驚くまでに質素であられた、どちらの帝も。
「使えるものは使えなくなるまで、服も裏が破れても縫って使われていもっした」
「その両帝、そして武士として」
「人を教え導くのならば」
「質素でなければならない」
「それ故に」
「そうでありもっそ」
こう考えているからこそだった。
「おいどんは質素であり続けるもっそ」
「贅沢に最初から興味がないだけでなく」
「己への戒めも含め」
「そうしてですか」
「元老はあくまで」
「そうでありもっそ。しかもおからはでごわす」
西郷の酒の友のそれはというと。
「量がありもっそ、量さえあれば」
「元老は満足なのですね」
「それだけで」
「腹一杯食えて何が不満でごわすか」
やはり美食を求めない西郷だった。
「おいどんはそうも考えもうす」
「そうでありますか」
「では我々も」
「より質素に」
「そうして生きていきます」
「ものが豊かになってもたかが知れているでごわす」
こうも考えている西郷だった。
「大事な豊かさとは何か」
「心、ですね」
「心が豊かになってこそです」
大山も桂もこのことがよくわかっていた、それで西郷に確かな言葉で応えてそのうえで強い言葉で言うのだった。
「そうでなければ真の豊かさではありませぬ」
「まさに」
「人は心が豊かでなければ」
「生きている意味がありませぬ」
「幾ら美食と豪邸、見事な服に囲まれていても」
「どれだけの資産があろうとも」
それでもだというのだ。
「全く以てです」
「何の意味もありませぬ」
「おいどんは満ち足りているでごわす」
西郷は自身の状況を言った。
「陛下、友、おんし達、そして臣民の皆に夢と」
「その全てがですね」
「あるからこそ」
「何が貧しいでごわすか」
まさに心が満ち足りている者の言葉だ。
「おいどんはこれ以上はないまでに豊かで幸せごでわす」
「そう仰いますか、流石元老です」
「では我等もです」
大山と桂も言うの
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