第七話 安東中佐!相撲ごっつあんです!!その十
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「如何でごわすか」
「心から味を感じます」
アンドレさんはその巨大な口で稗と玄米を噛み締めながら答えた。
「元老の、そして奥方の」
「そう言ってくれるでごわすか」
「人を教え導くのなら質素であれ」
これがまさに西郷の教えであり考えだ。
「そうあるべきですね」
「おいどんはそう考えているでごわす」
「わかりました、そのことが」
アンドレさんは深い感銘と共に答えた。
「人がどうあるべきか、よく」
「そう言ってくれるでごわすか」
「元老、そして日帝集の方々がおられる限り」
こう言うのだった。
「日本、太平洋は万全です」
「そうなる様に精進していくでごわす」
西郷はアンドレさんに謙虚な言葉で応えた、彼はあくまで質素であり謙虚だった。そして夜もだ。西郷はおからで黒糖焼酎を飲みつつ共に飲む大山と桂に言われたのだった。
「元老はおからですか」
「今日もですか」
「豆腐ですらなく」
「それで飲まれていますか」
「おいどんはこれが一番でごわす」
おからが、というのだ。
「美味しいでごわす」
「幾ら何でも質素に過ぎるのでは」
「そうです、元老ともあろう方がおからなぞ」
「この焼酎にしても市販のものです」
「何も贅沢ではありません」
間違っても特別に作らせたり高級なものは飲まないのが西郷だ、ひいては日帝衆全体が極めて質素である。
「着ておられる服もそうですが」
「あくまで質素でよいのですか」
「ですから肴もおからですか」
「それで宜しいのですか」
「餓えなければそれでいいでごわす」
これが西郷の考えだった。
「おいどんは」
「左様ですか」
「そう言われますか」
「それで、ですか」
「今も」
「そうでごわす」
こうしてだ、おからを肴にして飲むというのだ。
「むしろ酒が飲めてこうして食べられる」
「そのこと自体がですか」
「贅沢ですか」
「充分でありもっそ」
実際にだ、西郷は満足している笑顔であった。
「おいどんは贅沢には興味がありもうさん」
「しかし臣民も幾らそこまでは」
「質素ではありませんが」
「太平洋全域で、です」
「元老程質素にされている方は」
いないというのだ、ましてや西郷は日帝衆を動かす元老達の首席である、尚他の元老達がどれだけいて誰で何を受け持っているかはまだ作者も考えていない、読者の方の人気で続けばそのうち出て来るかも知れない。
「おられぬです」
「おからで飲まれるなぞ」
「今時おからとは」
「最早兎の餌です」
「それにしかなっておりませぬ」
そうなってから久しい、何しろおからと言われてもそれ何、とクエスチョンマークで尋ねる子供が殆どである。
「しかしそれで飲まれるとは」
「そうして質素にされていかれますか」
「そうでご
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