修行編 その一
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前の敵に集中している所を後ろから斬りかかれる場合もある。
しかも、矢だって飛び交う。
今の構えだと戦場で死ぬ可能性が極めて高い。」
師匠の説明に俺は反論の余地がなかった。
確かに剣道は最初は絶対に相手が正面にいる。
なので構えはやや前傾姿勢になり、周りの視界が狭まる。
防具をつけていないので視界はある程度広いが、それでも戦いが始まれば自然と癖で前に集中してしまうだろう。
こうなれば後ろから斬りつけられたり、矢が飛んできても対処する前に死んでしまうだろう。
今まで頼りにしていた剣道の経験がここにきて否定されてしまう。
「お前がどういった考えでその構えに辿り着いたかは聞かん。
だが、今のままだと非常に厳しいぞ。」
その次の日からいつもの修行は少しだけ止め、俺の新しい構えを考える事となった。
俺は構えなんて後からできると言って、今の修行を一旦止める事に反対した。
しかし、師匠は、
「駄目だ。
構えというのは非常に大事だ。
ここで適当に考えた構えをし、それで修行を続けてもお前はそれほど強くはなれない。
構えは己の技や太刀筋などを最大限発揮する為に必要な事だ。
戦場で生きていける構えを見つけられない限り、修行を続けても意味はない。」
そう言われ、自分に一番合い、かつ戦場でも使える構えを考えながら師匠と打ち合いをしている。
あくまで考える事がメインなので、師匠も俺が受け止められる速度で打ってくる。
一応、前の世界での幾つかの剣道の構えを実践してみたが師匠に色々と駄目出しをされた。
この日も合った構えを見つける事ができず、一日が過ぎた。
夜になって師匠は寝てしまったが、俺は寝る事ができなかった。
(こんな所で足踏みしてしまう何てな。
早く見つけないと。)
俺は被っている毛布をどけ、立ち上がる。
刀を持ち、思いつく限りの構えをとってみるがいまいちピンとこない。
満天の星空の元で仰向けになって倒れる。
そのまま星空をじっと見つめる。
(全方向を確認しやすい構えで、かつ俺の剣道のスタイルを崩す事のない構えか。)
そんな都合の良い構えが存在するのだろうか?
今日の夕方頃、師匠はこう言った。
「前は構えは重要だと言ったがそれはあくまで縁自身が決める事だ。
もし自分に見合った構えを見つけたら言ってくれ。
再び修行を再開する。
もちろん、お前が大丈夫なのなら前の構えに戻しても構わない。
全てはお前次第だ。」
と、最後に放任されるような言葉を受けてさらに考えてしまった。
大きくため息をして、ゆっくりと立ち上がる。
刀を地面に突き刺して、両手でパンパン!、と両頬を叩く。
(ウジウジ考えた所で何も解決にならない。
落ち着いて深呼吸しろ。
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