戦友
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の華奢な身体1つで受け止めてきたティアの隣に立って共に戦えるなら、何が待っていようとアルカは迷わずそれを選ぶだろう。たとえ結果としてミラに会えなくなるとしても、アルカにとってティアは、相手がそう思っていなくても大切な友達だから。
けど、それが自分の役目ではない事も、彼は解っている。いくら同じ元素を司る魔法を使っているとしても、いくらギルドの中では親しい方であるとしても、今ここで自分がすべき事は違うと気づいている。
(落ち着け、オレ……。大丈夫だ。きっとティアは、オレ達が何も言わなくても、十分に歯向かう)
相棒を助ける事を願っていたヴィーテルシアが、ここまで来なかったように。
仲間を信じ、ティアを信じているからこそ、アルカは何もしない。
「……そうね」
その気持ちを知ってか知らずか。
ポツリとティアが呟いた。
「もう、諦めるとするわ」
ナツ達が、耳を疑う一言を。
彼等が目を見開き、シャロンは口角を上げる。その感情に比例するように、拳に纏う金色の光が強くなった。
「だから、力を貸しなさい。バカナツ」
そして、序でと言わんばかりにもう一言呟いた。
余りにもサラリと言われたものだから、全員が1度は聞き流す。
「……は?」
どうにかその言葉の意味を理解したナツが、ポカンと口を開けた。そりゃそうだろう。今自分で“諦める”と言った人が、“力を貸しなさい”と言うなんて矛盾している。
シャロンも驚いているようで、目を見開いて震える声でようやく言葉を紡ぐ。
「あ…貴女、今」
「え?……ああ、主語が足りなかったわね。私的には“1人で戦うのを諦める”って意味だったんだけど、これで御理解頂けたかしら」
足りないなんてもんじゃない。1番抜けてはいけない箇所だ。
言った本人はといえば、不思議そうに小首を傾げている。
「ほら、さっさと立ちなさいよ」
「おう……って何で?」
「はあ?」
言われたとおりに立ち上がりながらも、ナツの中で疑問は消えない。
魔法の相性は最悪で、ティアからすれば滅竜魔法が2つという状況になってしまう。いくらナツが味方だとはいえ、攻撃の余波がティアに飛ばないとは言い切れない。そうなれば、ティアにとっては更に追い込まれる状況になる。
が、そんな問いに対してティアは眉を顰めると、あっけらかんとした様子で言い放った。
「助けてくれるんでしょ?」
―――――解った!絶対助けてやる!
自分が言った言葉を思い出す。
驚きつつティアの顔を見ると、無愛想なくせに作られたように整った見慣れた顔があった。ピクリとも笑わない表情もいつも通りで、相変わらずのポーカーフェイスを保っている。
「もう
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