戦友
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女は竜人で、半分とはいえ竜の血が流れている。私の滅竜魔法は、かなりの脅威なのではないかしら?」
敢えて何も言わなかった。何を言ってもそれはそれを肯定してしまうと思ったから。
そう―――――ティアが先ほどから何よりも回避を重視する理由はそれだ。
数々の伝説で語られる通り、竜は強い。人間なんかとは比べ物にならない程に強い竜には、人間が操る至って普通の魔法など通用しないのは当然の事。だから、人間の中には竜を神として祀る者や逆に恐れる者がいる。
そしてそんな伝説上の生き物だと思う者も多い竜にとっての唯一とも呼べる脅威―――――それが、竜を滅する為の魔法である、滅竜魔法。
竜の血の身をもつ竜にとっての脅威は、人と竜の混血であるティアの竜の血にとっても脅威でしかなかった。
「貴女のギルドには4人…いえ、彼はもういないと聞いたから3人かしら。滅竜魔導士が所属している。けれど、自分と同等かそれ以上の実力を持つ滅竜魔導士と戦った事が、貴女にあるの?」
ぎゅっと拳を握りしめ、唇を痛いほどに噛みしめる。
ティアが知る滅竜魔導士は4人。火竜のナツに、鉄竜のガジル、天竜のウェンディと、魔水晶を埋め込んだラクサス。
脅威と呼べる存在がギルドに多くいたにも拘らず、その脅威に向き合わざるを得なかった事は1度もなかった。
ナツにはよく勝負を挑まれるが、蹴りの一発でも直撃すれば相手はKO出来る。ガジルとは抗争の際に少し戦い危険な面もあったが、直接喰らう事はなかった。ウェンディはまだ攻撃用の魔法が少ししか使えないし、戦いたがる性格でもない。ラクサスはよくいがみ合う仲ではあったが、彼が滅竜魔導士だと知ったのはBOFの時であったし、そもそも魔法を直接ぶつけ合うような事は(マカロフに“街を壊す気か!”と長時間説教されるので)しなかった為、戦う事もなかった。
つまり、ティアに取ってシャロンが初めて“脅威”と呼べる相手なのである。
「その顔を見る限り、そんな戦歴はないようね。天下の妖精の尻尾のギルド最強の女問題児なんて呼ばれているけれど、私からすれば一族に邪魔な出来損ないでしかないわ」
何も言わない。言ったら負けだと必死に自分に言い聞かせる。
後ろで見守るナツ達は、そんな彼女が押し殺す怒りや殺気を強く感じていた。
「……もう諦めなさい。貴女では私に勝てない。いい加減、その現実を認めなさい」
そんな事ない、と叫ぼうとしたルーをアルカが抑えた。振り返ったルーに、首を横に振ってみせる。
本当はアルカだって言ってやりたい。“ティアの事マトモに見てこなかった奴に何が解るんだよ!”と怒鳴りたい。大勢の悪意をそ
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