戦友
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見つけたんです!」
「本当か!?」
「はい!ぞろぞろ出て来てたんで間違いないです!」
目を見開いたヴィーテルシアに、アランは大きく頷いて見せる。
それを聞きヴィーテルシアは暫し考え込むと、杖を振るいつつ前を見据えた。
「ならば、まずはそこを潰すか」
「その必要はないですよ」
「は?」
大きく開けた口から黒い光の怒号を放ったアランは、そのままニッコリと微笑む。その笑みがとても似合わない状況だからか、それとも一気に数十体のデバイス・アームズを壊したその威力からか、僅かに寒気がした。
「放っておく理由もないかなーと思って、壊してきました」
ナツ達には、ティアが優勢に見えていた。
確かに彼女はシャロンの攻撃を紙一重で避け、持ち前のスピードで駆け、強力な一撃を叩き込み、見た目だけならシャロンの方が傷は多い。確かに優勢に見えるだろう。
―――――が、実際のところ、優勢なのはティアであっても有利なのはシャロンだった。
「星竜の咆哮!」
放たれた金色の咆哮を右に避ける。
戦闘経験も一撃の威力もスピードもティアの方が勝っているし、戦い自体にも慣れている。ゼレフ書の悪魔からギルド間の抗争、聖十大魔道に闇ギルドのマスターと多くの強者と戦ってきた戦歴もある。
けれど今ティアは、誰が何と言おうと不利な状況にあった。
「大海一閃!」
「星竜の翼撃!」
握りしめる水の剣を振り下ろそうとして、突然薙ぎ払われた金色の光を纏う両腕に過敏に反応する。咄嗟に動きを止めて力強く後ろへと跳んだティアはもう1度向かっていくが、距離を詰めるよりも早くシャロンの一撃が放たれ、表情を歪めつつそれを避ける事を重視した。
タン、と地面に降り立ったティアは再び剣を構えるが、シャロンはそれを見て笑みを零す。
「…何がおかしいの」
「勝てもしないのに足掻くなんて、貴女も随分人間らしくなったものね。ま…いくら取り繕っても、貴女は人間にはなれやしないけれど」
「人間である事で何が変わるの?どうせ同じように生きられるなら、人間に限定する理由なんてないわ」
シャロンの声は、ティアのそれよりも僅かに低い。2人とも淡々とした、冷たくて鋭い声だけど、やはり明確な違いがある。
ティアの声は確かに鋭い。が、鋭くなりきれていない部分がある。放っておけばいいのに放っておけなくて、他人だと突っぱねるのに手を伸ばす、不器用で歪な彼女の優しさが声に出てしまっているのだ。
反対に、シャロンの声は本当に鋭い。聞いただけで全身を斬りつけられるような、凍らされてしまうような声。優しさなんてどこかに捨ててきてしまったようで、そもそも最初からそんなもの持っていなかったかのようで。
「でも勝てないのは本当でしょう?貴
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