戦友
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を纏った拳をティアが首を傾げるような動作で流す。
「うぐっ」
表情を歪めたシャロンの腹に、躊躇いなく膝蹴りを叩き込む。
細い脚のどこにそんな力があるのかと尋ねたくなるような重い一撃に、ゆらりとシャロンがよろめいた。当然その隙を逃すなんて馬鹿な真似はせず、持ち前のスピードで一気に駆け、さらに勢いよく回し蹴りを炸裂させた。
「凄い…」
聞こえるか否かのギリギリの声でルーシィが呟く。ティアの動きは攻撃も回避もスピードがあって目で追うのは疲れるが、それでも彼女の凄さは全員が解っていた。
1つ1つの動作に無駄がない。ストイックなまでに特訓を積み、自分が納得しない限りはいつまでも同じ動作を繰り返して、プライドが高いからなかなか納得出来なくて繰り返し続けた結果だろう。
怒りも苛立ちも、幼い頃から抱えてきた苦しみも、その全てを力へと変換し、顔に感情を出さない分魔法に感情を出す。痛みに眉を顰める程度にしか変わらない表情はどこか不気味で、それでも彼女らしい。
「こうなりゃオレ達も……って言いたいトコだけど、今は邪魔にしかならないよな」
「ああ」
「つか、アレのどこに入っていけって言うんだよ」
苦笑いを浮かべて見つめた先。同じ色の髪と瞳を持ち、同じ“星竜の巫女”である2人。それでも立つ場所は真逆で、同じ巫女だし仲良くしましょうなんて事は最初から不可能で。
1人は竜をも滅する金色の光を操る、魔法都市の名家に君臨する女当主。
1人は攻撃する為だけに存在する魔法を駆使する、ギルド最強の女問題児。
こんな2人の戦いに入る隙なんてなくて、とりあえずは眺める側に徹する。
「今は入っていっちゃダメだよ」
「ルー?」
ポツリとルーが呟いた。
首を傾げるハッピーには目を向けず、彼はただただあの背中を焼き付けるように目で追いかける。
他人であるはずなのに助けてくれて、防御を重視する魔法でも使える攻撃魔法を叩き込んでくれて、いつだって遠くに立っていて、ずっと追いかけ続けてきた彼女の背中を、一心不乱に目で追いかけ続ける。
憧れ続けて、いつかあんな風になりたいと思い続けたからこそ、言える。
「ティアは頑張ってる。頑張って頑張ろうとしてるから、その頑張りに僕達はいらないよ」
「女帝の業火!」
ヴィーテルシアお得意の炎魔法が、デバイス・アームズの群れを一瞬にして呑み込んだ。くるりと回した杖の先を再度向ければ、再び炎が機械を壊す。
その気になればこれ以外の魔法だって使えるのだが、やはりこれが1番慣れている。それに、女帝の業火は女姿でしか使えない。もっと戦闘に特化した姿に変身する事だって可能だが、それを考えると多少使
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