暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第百八十三話 和議が終わりその八

[8]前話 [2]次話
「それだけにな」
「油断なりませんな」
「例え二郎とてな」
「しかし海で敗れては」
 今の織田家にとってはだ、それもだった。
「本願寺を活気付けてしまいますな」
「そうなれば石山攻めが面倒なことになる」
 本願寺の本拠であるそこがだ、織田家が海で敗れれば毛利は石山に兵糧を運び込む。そのことと織田の敗北と味方である毛利の勝利であっきがあがるというのだ。
「それはな」
「あってはなりませんな」
「決してな」
 断じて、というのだ。
「だから勝たねばならんが」
「最初から」
「しかし我等は陸におる」
 次の戦い、その毛利水軍との戦いの時はだ。
「全ては二郎任せじゃ」
「そうなりますな」
「見させてもらおう」
 九鬼のその戦いをというのだ。
「ここはな」
「さすれば」
「さて、ではまずは都に向かおうぞ」
 出陣した安土からだ。
「そうしてな」
「帝と公方様に挨拶をして」
「そうしてからじゃ」
 石山に向かうというのだ。
「道も長いわ」
「ですな、その間軍の列を乱さぬ様にしましょう」
 羽柴はここでこうも言った。
「さすれば」
「うむ、そうじゃな」
 柴田も頷いて答えた。
「それが今の我等の仕事じゃ」
「左様ですな」
「一兵もな」
 それこそ一人たりともというのだ。
「はぐれぬ様にしようぞ」
「はい、それは」
 前田も柴田のその言葉に応えた。
「何があろうとも」
「そうするぞ」
 こうした話をしてだった、そのうえで。
 織田軍は安土からまずは都に進んでいた。織田軍の進撃は早く都にはすぐに着いた。そうしてであった。
 信長は都に着くとまずは家臣達を連れてだ、そのうえで。
 朝廷に入った、そして帝に拝謁してだった。
 戦のことを述べる、すると帝はこう彼に言われた。
「では右大臣よ」
「はい、今より」
「勝って帰るのです」
 こう言われるのだった。
「よいですね」
「わかりました」
「それではです」
 帝は信長にこう答えた。
「太政大臣よ」
「はい」
 近衛のことだ、近衛は帝のお言葉にすぐに応えた。
「それではですな」
「朕からの宣旨を」
「畏まりました。では右大臣殿」
 帝のすぐ傍にいる近衛もだ、信長に言う。今は公の場なので彼等は畏まってやり取りをした。茶の場とは違い。
「これより帝からの宣旨を」
「有り難く受け取らせて頂きます」
「それでは」
 こうしてだった、信長は帝からの宣旨を受け取った。天下を安らかにせよとの。
 それを受けてだった、信長はすぐ後ろにいる林と明智に顔を向けた。そうしてだった。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ