七十八 帰郷
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っている。
あのサスケにどのような心境の変化があったのかは知らないが、常につんと気取っていたイメージが少々払拭されたので、以前より親しみやすくなったのは間違いない。
けれどその一方で、最近サスケと行動を共にする色白の少年がシカマルにはやけに気掛かりだった。木ノ葉では見掛けた事がないという点からも不審である。
故に何度か忠告しておいたのだが、あのサスケが素直に従ったかは定かではない。それよりもシカマルの目下の関心は、ナルがいつ木ノ葉に帰って来るのか、であった。
波風ナルが里外の任務についたらしい、という話を聞いてもう十日。
そろそろ戻って来てもよい頃なのだが、未だに姿を見せぬ幼馴染にシカマルは眉を曇らせる。
そんな息子の心中などお見通しだというように、シカクは明るい声で一応念を押した。
「お前がナルちゃんにベタ惚れなのはよ〜く解ったが、他の同期にも目を配っておけよ」
「…言われなくてもわかってるよ」
シカクを横目で睨みつけ、唇を尖らせる。だがその反面、シカマルは父の意味深な一言を内心判じかねていた。不本意ながら父親であるこの男は無駄な事を言わない。
思わず思案の渦に呑み込まれていたシカマルは、前方から駆けて来る人の気配に気づけなかった。
「いって〜!誰だってばよ?」
「そっちこそ……って、あ?」
前から駆けてきた人物と正面衝突。鼻を打ったシカマルは痛みを感じるよりも先に、聞き覚えのある声に反応した。顔を上げる。
目の前で、頭を打って悶絶しているのは、シカマルが待ち望んでいた存在だった。
「ナルじゃねーか!!」
驚愕と歓喜が入雑じった表情を浮かべるシカマルに対し、ナルは「お〜!シカマル〜」と陽気な声を上げた。あまりの呑気さに脱力し、シカマルは肩を落とす。
「おっまえ、いつ帰って来たんだよ?」
「ついさっきだってばよ!シカマルこそなんで此処に?」
「なんか知んねーけど親父がついて来いって…」
ちら、と視線を投げると、シカクはナルの頭にぽんっと手を乗せた。
「よぉ〜ナルちゃん。元気にしてたか?」
「シカマルのとーちゃん!久しぶりだってば」
幼き頃、よくシカマルの家に入り浸っていた為、シカクと顔見知りのナルの顔がぱあっと輝いた。
里人から迫害を受けていた彼女が信頼する数少ない大人の一人であるシカクが、ナルの金の髪をわしゃわしゃと撫でる。
「くすぐったいってばよ〜」と笑うナルを実の息子より可愛がる父親をシカマルはじろりと睨みつけた。どっちに嫉妬しているかと言えば、当然シカクである。
「髪、ぐちゃぐちゃじゃねーか」とさりげなく引き離すと、途端ににやにやとシカクに笑われてシカマルはむすっと唇を尖らせた。
そんな父子の心情など知らない為、きょとんとしていたナルだが、突然ハッとする
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